地獄の歯科業界、大余剰で年収2百万も…激増の「整体」」「もみほぐし」、大チェーン出現
「リラクゼーションとは、心と身体の『休養』『緊張の緩和』を指します。医学的には、交感神経の興奮が抑えられ、副交感神経の働きが優位になっている状態です。空間演出や音楽で五感に安らぎを与え、心をリラックスさせ、身体へは手指などを使って心と身体が緊張から解放される時間を提供します」(日本リラクゼーション業協会、服部事務局長代理、以下同)
リラクゼーションサービスを提供する店舗を「リラクゼーションスペース」と呼称することで、「治療院(あん摩、マッサージ、指圧、鍼灸)」と区別している。治療院を開業するには、管轄する保健所に施術所開設届を提出する必要がある。また、あん摩、マッサージ、指圧の場合は「あん摩マッサージ指圧師」、鍼灸の場合は「鍼灸師」の国家資格が必要となる。
「リラクゼーションは、前述の通り心と身体の緊張を緩和させることが目的で、国家資格が必要なあん摩・マッサージ・指圧に代表される治療行為とはまったく異なるサービス価値を提供し、治療行為は一切行いません。また、施術に痛みを伴わないのがリラクゼーションの特徴です」
以前より「もみほぐし」や「整体」はあったが、産業として「その他サービス業」に分類されていた。13年10月総務省の日本標準産業分類に「リラクゼーション業(手技を用いる)」が新設された。矢野経済研究所の推定によれば、14年の産業規模は約1100億円だそうだ。
「協会の会員会社は現在約150社です。15年3月には会員会社が展開している店舗数は全国1950店でしたが、10月には2100店となりました」
このように、店舗数だけから見ても年率10%を超える成長が続いている。また2100店舗で働くセラピストの数は約1万7000人いるそうだ。
「協会への入会率は20~30%ではないかと推計されているので、日本全体でリラクゼーションスペースの数は1万店を超えた可能性があります」
あん摩、マッサージも伸びている
厚生労働省「平成26 年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」によれば、治療院系の事業所の数は以下の通りである。
・あん摩、マッサージ及び指圧:1万9271カ所
・鍼・灸を伴う:6万3127カ所
・柔道整復(「整体」を呼称しているケースもあり):4万5572カ所
・その他:2862カ所
総数13万832カ所は、調査2年前の統計より4.0%増えている。高齢化を背景に「医療産業」というより「QOL(クオリティ・オブ・ライフ)産業」あるいは「快楽産業」として成長している分野ともいえる。