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鬼塚眞子「目を背けてはいけないお金のはなし」

危険な「親の介護リスク」を直視せよ!費用が月20万円、介護が20年以上の例も

文=鬼塚眞子/一般社団法人介護相続コンシェルジュ代表、保険・介護・医療ジャーナリスト
危険な「親の介護リスク」を直視せよ!費用が月20万円、介護が20年以上の例もの画像1「Thinkstock」より

 新年を迎え、心新たに一年の目標を立てるとともに、将来に思いを馳せる人も多いことだろう。だが、少子高齢化や社会保障制度への不安から、働き盛りの世代でも老後不安が高じて“老後破産”の心配をする方までいる。

 しかし、少し待ってほしい。さらに深刻な問題が待ち受けているかもしれないと言うと、驚かせすぎだろうか。

 それが“介護破産”を含めた“介護リスク”だ。自分や親族の介護問題は、気にはなりながらも一番考えたくない問題かもしれない。だからこそ、新年早々縁起でもないと思わずに、介護リスクにじっくり向き合ってみたい。

介護のリスク

「介護のリスクはなんだと思いますか?」と聞かれたら、何が思い浮かぶだろうか。多くの介護関係者に取材し、利用者家族の相談に乗ってきた筆者の経験から申し上げると、介護の第一のリスクは、「いつ」「どれぐらいの期間」「どんな変化を伴うか」といった「時間が読めないこと」にあると考える。

 参考にすべきデータがある。たとえば、平均寿命と健康寿命(日常生活に制限のない期間)。2013年の厚生労働省のデータでは男性の平均寿命は80.21歳、健康寿命は71.19歳、女性はそれぞれ86.61歳、74.21歳となっている。その差となる男性9.02年、女性12.40年は、日常生活に制限が出る期間となっている(平均寿命は「簡易生命表」、健康寿命は厚生労働科学研究費補助金「健康寿命における将来予測と生活習慣病対策の費用対効果に関する研究」による)。

 つまり、男性は72歳頃から、女性は75歳頃から、何かしら日常生活に制限が出て、介護が次第に必要となってくる期間といえる。

 だが、これはあくまでも平均データであって、鵜呑みにするのは早計だ。特に認知症の進行状態は千差万別だ。介護期間が1年未満の方もいらっしゃる一方で、長い人になれば20年に及んだという話も決して珍しい話ではない。相談を受ける際、介護期間について聞かれたら、筆者は長期間に及ぶことを必ず伝える。

 というのは、介護リスクの2つ目にも通じることだが、介護には本人、介護者だけでなく、他の親族、ご近所など多くの人がかかわることがあるからだ。介護期間の先が見えないと、時間経過とともに精神的・経済的疲労が蓄積する一方となる。最初から長期間に及ぶことを想定して親族で話し合ってから介護をスタートさせない場合は、トラブルが生じる危険も高まることに注意が必要だ。

鬼塚眞子/ジャーナリスト、一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会代表

鬼塚眞子/ジャーナリスト、一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会代表

出版社勤務後、出産を機に専業主婦に。10年間のブランク後、保険会社のカスタマーサービス職員になるも、両足のケガを機に退職。業界紙の記者に転職。その後、保険ジャーナリスト・ファイナンシャルプランナーとして独立。両親の遠距離介護をきっかけに(社)介護相続コンシェルジュを設立。企業の従業員の生活や人生にかかるセミナーや相談業務を担当。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などで活躍
介護相続コンシェルジュ協会HP

Twitter:@kscegao

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