危険な「親の介護リスク」を直視せよ!費用が月20万円、介護が20年以上の例も
7年で2000万円以上
そして3つ目のリスクは、介護生活は節約をしにくいという点である。公的介護保険制度に基づくサービスは、いうまでもなく公的であるため、値引きもポイントサービスも存在しない。さらに、介護状態が重くなるにつれ、受けるサービスを増やすことが一般的になるため、必然的に支払いも増えていくことになる。
また、認知症になると、節約上手だった方も次第にお金の計算は混乱しがちになり、同じものを重複して購入することも日常茶飯事になってくる。施設に入居するにしても、一時金は別として、地方では入居費・食費などで1カ月平均12~15万円、首都圏だと20万以上の支出を要する。ほかに医療費やおむつ代など諸雑費も考慮しなければならない。
一例を紹介する。複数の施設を展開している介護施設が、独自に平均入居年数をリサーチすると、「平均7年」という結果が出た。仮に1カ月の入居費(諸雑費別)を1人20万円とすれば、1年で240万円、7年の総計が1680万円となる。ここに雑費を加味すれば、7年で2000万円以上になっても不思議ではない。
全国の施設関係者に話を聞くと、入居の際に支払い能力があるかどうかを十分に審査しても、入居が長引いて支払いが滞り、退去せざるを得なくなったという悲しい現実も起こっている。
非常に残酷だが、見過ごすことのできない問題なので、あえて指摘したい。
親にはいくら長生きしてもらいたいと思っても、予想以上に親が長生きをして親の預貯金が底をついた場合、果たして子供が補てんするのだろうか。
親だけでなく、子供まで精神的・経済的に共倒れする可能性を想像したことがあるだろうか。
さらに、追い打ちをかけるかもしれないが、注意していただきたいのは、ここまでの話はあくまで顕在化したリスクで、潜在リスクを把握しておかなければ介護リスクは防止できないということだ。
潜在リスク
潜在リスクの第一は、なんといっても将来の公的年金受取額に対する不安だ。ねんきん定期便を見て、「羽振りのいい高校生のバイト代かと思った」という声すらあるぐらいだ。
第二がマイホーム問題だ。今は自宅を処分して入居される方が多いと聞くが、これからは自宅売買は早めに対策をとることが不可欠となってくる。13年の総務省統計局のデータでは、空き家率は13.5%となっているが、人口が減少する日本では買い手市場となり、空家率は増えると予測する。