危機迫る東芝、いまだ必死に隠蔽する重大問題…利益はいくらでも小手先で操作できる
創立140年の東芝が崖っぷちに立たされています。日立製作所と並び、日本が誇る総合電機メーカーがなぜここまで追い詰められたのか。
そもそもの発端は2015年1月、インフラ事業の一部で不正会計処理が行われているとする内部告発が証券取引等監視委員会になされたことです。不正を隠せないと悟った東芝は5月8日付けで第三者委員会を立ち上げ、インフラ事業の工事進行基準に限り調査を約束しました。
5月15日、東芝は第三者委員会委員選任の発表と同時に、「工事進行基準案件以外でも更なる調査が必要な事項も判明」したとの文書を公表、そして5月22日に映像事業における経費計上の会計処理、半導体事業における在庫評価に係る会計処理、パソコン事業における部品取引等に係る会計処理も調査範囲となることが決まりました。それから2カ月後の7月20日、調査報告書(以下、報告書)の要約版が、翌日21日にはその全文が公表されました。
調査報告書の謎
報告書には不正を起こした原因やその手口が詳細に書かれているのですが、重要な点がぼやけて見えてこないのです。
たとえば、不適切な会計処理により2008年~14年までの7年間で1518億円の利益が過大計上されていた、とあります(表参照)。違和感を覚えるのは、「不適切会計処理」という言葉です。なぜ不正会計とはいわず不適切会計としているのか。おそらく、1518億円の利益過大計上を故意による粉飾ではなく、ケアレスミスだと言いたいのでしょうが、本件は不正会計処理というべきです。
もっとも腑に落ちない点は、不正会計処理に染まってしまったその動機です。調査期間(7年間)における売上高総額は45兆5054億円、税引き前利益は6856億円ですから、仮に不正会計処理をしなくても累計の利益は5338億円です。赤字を糊塗するための不正会計処理ならいざ知らず、なぜ東芝の社長たちは、こうした状況で社内カンパニーに利益のかさ上げを無理強いし続けたのでしょうか。
不正会計処理発覚、そして第三者委員会報告書提出
以上の疑問を解決するために、新聞・雑誌等の記事をもとにして、不正会計発覚から第三者委員会の調査報告までを整理してみました。
・15年1月:証券取引等監視委員会への内部告発
・4月3日:「特別調査委員会設置に関するお知らせ」と題したプレスリリースを公表
・5月15日:第三者委員会メンバーと調査範囲拡大を公表
・7月20日:調査報告書公表