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国際線では、ビジネス客が多い欧州路線も有力候補だったが、欧州路線は飛行時間が長く、3機で1日1便の定期路線を維持することが難しい。加えて、アライアンスを組むルフトハンザとの競合も勘案せざるを得ない事情があるという。そこで白羽の矢を立てたのが、ビジネス客重視のANAで手薄になっていたリゾート路線のハワイ航路に就航させることだ。観光客を中心に、ハワイには日本から毎年150万人前後が訪れているため、開拓の余地があると踏んだという。ANA傘下には、業績の好調なピーチやバニラといったLCCもあり、グループ力を結集してマーケティングに取り組む可能性がある。
とはいえ、ハワイ路線といえば、破綻前のJALが開拓したリゾート路線だ。この路線では、ANAの集客力はJALの後塵を拝している。大型機の座席を埋めるための大幅なディスカウントを迫られて、期待ほどの売り上げや利益が確保できないリスクがある。
加えて、飛行機は機種ごとに部品の在庫を持つ必要があるうえ、整備員、パイロット、キャビン・アテンダントも機種ごとに育成しなければならず、経費が大きく膨らむリスクもある。見込み通りの収益を確保するのは容易なことではない。
ANAの誤算
一方、ANAは自社の発券システムをスカイマークに採用させる方針だったが、スカイマークがANA主導の再建計画が決まったあと拒否する姿勢に転じ、いまだに実現のめどが立っていないという。ANAは、スカイマークを支援するためのコードシェア(共同運航)に発券システムの統一が不可欠だとしていた。が、スカイマークにしてみれば、これを受け入れると、自社で顧客情報を管理・蓄積できなくなるデメリットがある。将来自立する道が閉ざされてしまう問題もある。このことは早くから筆者が本コラムなどで指摘してきたが、同社も気付いたという。
また、歴史的な原油安と利用客数の回復に支えられて、スカイマークは最悪期を脱し、業績が回復し始めている。ANA主導の再建計画は、スカイマークにとって無用の長物になりつつあり、ANAのスカイマーク支配の野望は画餅に帰しつつあるのだ。
世界の航空業界は、中型機で機種数を絞ってコストを抑えながら、搭乗率を上げる経営戦略が主流だ。リーマンショック後はますます、その傾向が強まっている。
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