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勤務終了直後に「あと12時間働け」…警備業界、過労死続出の心身破壊される過酷な労働実態

構成=西山大樹/清談社
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警備業界が「貧困ビジネス」批判から脱却する方法

–「生活困窮者を食い物にしている」という批判を覆すためには、警備業界はどういった対策をとるべきだと思いますか。

橋本 いろいろ考えられますが、待遇面での整備は必要ではないでしょうか。現在のように昇給などもなく、ただ現場の警備員の意識に頼るだけでは、自ずと限界があると思います。昇給や賞与が難しいとしても、諸手当の設置やなんらかのインセンティブの導入などを考える価値はあるでしょう。また、「スキルの高い警備員もまったくの初心者も、同じ報酬」という現状も考えていくべきだと思います。

 現在、警備会社が導入している諸手当としては、列車見張員や、交通や施設の検定合格者といった有資格者に対するものがほとんどのようですが、ほかにも個々の警備員の意識や努力、スキルに対しても評価するような制度があれば、職場環境の改善につながるものとなるのではないかと思います。現在のように、報酬を増やすには勤務数を増やすしかないという状況では、長時間労働を助長させるだけだからです。

 難しい問題ではありますが、今後は警備会社ならびに警備員にとって厳しい状況になる要素が挙げられています。以前から、クライアント側の要求も厳しくなっています。クライアント側から、検定合格者や高いスキルのある警備員を要求する傾向が強くなっているようです。

 さらに、最近になって国土交通省から「平成29年度から、社会保険未加入者は公共工事の現場から排除する」という方針が打ち出されています。これは主として建設業者をターゲットにしたものですが、警備員も工事現場に立ち入ることから、警備員の勤務にも影響すると考えられます。

 社会保険への加入はメリットも大きいですが、報酬の手取り分が減ってしまうため、警備員によっては敬遠する者も少なくないと思います。ともかく、警備員ならびに警備会社には、いろいろな問題が目の前に迫っているということではないでしょうか。

–ありがとうございました。

 知れば知るほど、難しい問題が山積している警備業界。しかも、同業界は警察官僚の天下りが非常に多いとされる。警察官の本分は、不正を暴き、善良な市民の生活を守ることだ。その警察OBが上層部にいるのに、なぜ目の前で困窮している警備員を救おうとしないのだろうか。警備業界の深い闇が、少しでも晴れる日が来ることを願いたい。
(構成=西山大樹/清談社)

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