“サイバーダインの再来”といわれているのが、大学発のバイオベンチャーのスパイバーである。スパイバーは「スパイダー(蜘蛛)」と「ファイバー(組織)」を組み合わせた造語で、世界で初めて人工のクモ糸繊維の量産化体制を確立した。
スパイバーは事業化に向け、15年10月にゴールドウインとスポーツウェアで業務提携した。人工的につくられたクモ糸繊維を使ってスポーツウェアを生産する。上場が正式に決まったら、話題になるのは間違いない。
LINEの上場はあるのか
一時期、無料対話アプリのLINEは大型IPOとして期待が集まったが、上場延期を繰り返し、今年中の上場にも不安を残している。
LINEについて、1月29日付日本経済新聞は次のように伝えている。
「LINEの親会社である韓国IT大手、ネイバーの幹部は(1月)28日の決算説明会で『LINEの15年10~12月期は人件費やマーケティング費の増加で小幅な赤字になった』と述べた。16年12月期は黒字を見込むというものの、上場については『明確な時期を明らかにするのは難しい』と話した」
LINEが国内で発表した15年10~12月期の売上高は前年同期比26%増の326億円だったが、7~9月期比で1%増にとどまった。利益は公表していなかった。親会社が「LINEは赤字で上場は難しい」と明らかにしたのである。
LINEをめぐっては、さまざまなトラブルが発生した。最近では、タレントのベッキーとロックバンド「ゲスの極み乙女。」のボーカル・川谷絵音が交わしたとされるLINEの画面を週刊誌が掲載して騒動になった。
LINE側は「プライバシー保護を経営の最重要事項としており、厳密に管理している」とコメントを発表し、自社からの流出を否定した。だが、「LINEはプライバシーが筒抜けになる」との不信感を多くの利用者に与えたことは間違いない。利用者の信頼を失えば上場どころではなくなる。
一方で、前向きな情報もある。ロイター通信は3月上旬、LINEが「夏前にも東京と米NY(ニューヨーク)でIPOを計画している」と報じた。この報道を受けてLINE関連銘柄が一時的に急騰したが、これまでもLINEの上場観測は何度かあり、そのたびに関連銘柄が大きく上昇し、買いが一巡すると急落するといったケースが少なくなかった。LINEの上場は不透明と考えておいたほうがいいだろう。