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東電と関電等しか選べないという完全独占体制で、日本と国民が絶望的に失ってきたこと

文=横山渉/ジャーナリスト
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 福島原発事故後、1兆円以上の公的資金を受けた東電は福利厚生施設である「東京電力病院」を継続させようとしていたが、株主総会で東京都の猪瀬直樹副知事(当時)が厳しく追及したため、同病院は14年2月に閉鎖された。このケースでは大株主である東京都の力が働いたために物事が動いたが、一般消費者が何を言ってもムダだっただろう。

独占インフラだった送配電網

 エネルギーの市場改革は今後も続く。都市ガスの小売り全面自由化が17年4月に始まる。これにより、東京ガスなど都市ガス3社には22年4月のガス導管部門の分社化が求められる。

 20年4月には発送電が分離される。競争が進めば、国が家庭向けの電気料金を認可する規制も20年以降に撤廃される予定だ。発送電分離は、電力各社が自社の財産として抱え込んでいる送配電網を広く開放して、多くの事業者が使えるようにすることだ。どの事業者にも必要な独占インフラである送配電網を開放しなければ、いくら法令上自由化しても、競争は起きないのである。道路にたとえれば、「私道」を「公道」に変えて、誰でも通れるようにするということだ。

 問題は、どのように分離して運用するかだ。大手電力会社の影響が強いまま送配電部門を形だけ切り離しても意味はない。元経済産業省官僚の古賀茂明氏はかつて、筆者の取材にこう話していた。

「たとえば、東京電力を『東京発電』と『東京送電』に分離しても、兄弟会社やグループ会社のような資本関係が残れば、送電網は東京発電に有利な使い方をされてしまい、公正な競争にならない。東京発電をいくつかに分割して売却すれば、東電のDNAを薄めることができるだろう。市場原理や競争原理をきちんと導入するというのが大切だ」

 エネルギー市場の自由化、とりわけ電力市場改革からはまだまだ目が離せない。
(文=横山渉/ジャーナリスト)

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