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「どうやら、芳林堂への売掛金は支払い棚上げだけではないようです。芳林堂は太洋社と取引する以前、日販と取引していました。その前はトーハンです。業績が悪化した芳林堂は、太洋社に救われるかたちで取引先を変更したのですが、その際に芳林堂の日販への未払い金を太洋社が肩代わりしたそうです。その金額は一説には10億円ともいわれています。ほかの取引書店とは異なり、そうした特別な関係に両社はあったのです。その当時の借金が残っていて、未払い金が12億円にも上ったのではないでしょうか」(中堅出版社社員)
出版界では、こうした芳林堂との経緯を踏まえて、太洋社への同情論が高まっているが、東武ブックスや文真堂など多くのチェーン書店が太洋社から日販やトーハンに帳合変更してしまったのはなぜなのか。
かつて青山ブックセンターが取次の栗田出版販売より銀行への支払いばかりを優先させ、業を煮やした栗田が債権者として青山の破産を申請したことがあった。こうした“お手本”があるにもかかわらず、太洋社はなぜ体力のあるうちに芳林堂を自己破産させるなどの手を打たなかったのか。
「相次いで書店が太洋社から離れていったのは、トーハンや日販による書店の引き抜きだけではありません。書店自ら離れていったというケースもあるようです。芳林堂1社に命運を握られるほどまでに太洋社を弱体化させ、最後は出版社に迷惑をかける自己破産に至った責任は、ひとえに経営トップにあるといえるでしょう」(専門書系出版社の営業担当)
いずれにせよ、出版不況を物語る今回の太洋社の破綻劇といえよう。
(文=佐伯雄大)
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