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セブン&アイ、子会社幹部と取引先の癒着疑惑…不明朗なアイドルグッズ取引、経営混乱の発端

文=山口義正/ジャーナリスト

 概要はこうだ。銀座のホステスだった女性が10年に商品企画のA社を立ち上げ、ヨーカ堂と取引先である文房具の卸売を手掛けるM社とともにアイドルグッズをヨーカ堂に納入し始めた。ところが価格設定のまずさもあって大量に売れ残ってしまい、その処理に困ったヨーカ堂は在庫を浦和店に集め、さらにこれを販促資材の納入業者T社に隠した。T社はヨーカ堂販売促進部と懇意で、多少の無理は聞いてもらえる。そこで帳票上は浦和店に在庫を保管していることにして、現物をT社に隠したのだった。

 ところが「昨年10~11月に浦和店に監査が入り、在庫隠しが発覚した」(関係者)。これを裏付けるように今年に入って関係者に対し、次々と降格人事が発表されている。その後、監査部の指示でヨーカ堂は卸売りのM社に対し、返品分と契約残の分を合わせて買い戻しを約束したという。

 2月決算の同社が10~11月に棚卸をするのは、時期的に考えてイレギュラーだ。この在庫監査はあずさ監査法人が行ったとの情報もある。同社広報は「あずさ監査法人が監査を行ったという事実はない。在庫の廃棄もしていない」と話すが、それなら在庫はどこへ行ったのか、その伝票はどう処理されてどこにあるのかという疑問が残る。実は在庫が保管されている営業拠点は、センターコードも把握できた。しかも廃棄処分を決めたことで、損失額も2億5000万円ほどで確定していることも判明した。

 セブン&アイHDは信賞必罰がはっきりしている企業である。ヨーカ堂が2月5日付で対外発表した「人事異動のお知らせ」には部長クラス3人の異動が記されているだけだが、実はこれとは別に同日、在庫隠しがあった浦和店のストアマネジャー(店長)に対し「釧路店副店長を命ずる」との辞令が社内向けに発せられた。首都圏のストアマネジャーから北海道の副店長への異動は、明らかに降格人事である。

相次ぐ降格人事

 在庫が浦和店に集められT社に移されていたことについて、セブン&アイ広報担当者は次のように説明する。

「売りやすい店舗に在庫を集めることを移動集約と呼び、浦和店でこれを行っていたことは事実。しかし移動集約は従来から行っており、(売れ行きには)個店差があるため規模などから考えて売りやすい店に集約することがある。T社に在庫を移したのは、年末年始に福袋などとしてリパッケージするため。在庫はPOS管理されており、隠し在庫や廃棄は一切ない」

山口義正

山口義正

ジャーナリスト。日本公社債研究所(現格付投資情報センター)アナリスト、日本経済新聞記者などを経てフリージャーナリスト。オリンパスの損失隠しをスクープし、12年に雑誌ジャーナリズム大賞受賞。著書に『サムライと愚か者 暗闘オリンパス事件』(講談社)。

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