消費者が企業活動に抱く疑問を考察するサイト ビジネスジャーナル ⁄ Business Journal
アイドルや俳優などが、特に男性の場合、結婚すると人気が落ちるといわれることがある。その原因の多くは、女性の「嫉妬」である。結婚することが悪いことではない。しかし、結婚することで好きだった芸能人が嫌いにならないまでも、それほど好きではなくなってしまうことがある。それは、理屈や良い悪いではない。その人の感情だ。
芸能人は、曲の売上が多少下がろうが、出演した番組の視聴率が下がろうが、特に大きな問題にはならない。離れない固定ファンは多いし、それで活動が危うくなるわけでもない。
ところが企業はそうではない。何かのきっかけで売上が1%でも落ちれば大変なことになる。それが継続すれば、致命傷になるかもしれない。特に、売上を左右するのは物言う消費者ではなく、物言わない消費者だ。クレームを言ってくれれば直すこともできるが、「何が不満か」を言わないで去っていく消費者のほうが圧倒的に多い。
物言わない消費者
しかも、売上はすぐには落ちない。徐々に落ちていく。消費者は、事件でもない限り一斉には去っていかない。年数をかけて徐々に減っていく。目先の売上が上がっても、企業として安心できない。一時的に買う人が増えただけで、継続して買っていた人は減ったかもしれない。売上が上がっても、よかったかどうかはすぐには判断できないのだ。だからマーケティングは難しい。繰り返しになるが、消費行動は理屈ではないから、簡単に把握できるものではない。
たとえば、今回の日清のCMで「不愉快だと思って日清にクレームを言った消費者」が一連の成り行きを見ていて、「クレームを言った人は悪い人だ。クレームなんか無視すればよい」という態度を少しでも日清が見せると、「せっかく私が親切に言ってあげたのに、言いがかりをつけたかのように思われるなんて許せない」となる。そして、日清を嫌いになるだろう。
嫌いになった消費者は、カップヌードルだけが嫌いになるわけではない。日清という企業だけでも済まない。日清というブランドが嫌いになる。「日清グループでなくても、日清とついているだけですべて嫌!」になる。日清という名がつくものすべてに拒否反応を示すようになる。
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