13年にスペインのITサービス会社エヴェリスを500億円、15年にITコンサルティング会社の米カーライル・アンド・ガラガー・コンサルティンググループを270億円で相次いで買収した。
一連の海外でのM&Aにより、04年3月期に30億円規模だった海外売上高は16年3月期には170倍以上の5196億円に増加した。海外売上高比率は30%に達したが、国内売上高が7割近い状態では、まだグローバル企業とはいえない。20年をめどに、海外売上高1兆円、海外売上高比率50%を目標に掲げる。
デルのITサービス部門と子会社3社の買収によってNTTデータの海外売上高は8000億円規模まで膨らむ。海外売上高1兆円の目標が射程距離に入ってきた。
NTTグループ全体では、18年3月期に海外売上高220億ドル(2兆6000億円)を目指している。16年3月期には1兆9000億円にまで伸ばした。持ち株会社のNTTは10年に南アフリカの情報システム会社ディメンション・データを2860億円で買収している。
NTTドコモは4度、海外M&Aに失敗
海外M&Aが金の卵を産むという保証はどこにもない。NTTグループの海外M&Aは失敗の連続だったといっていいだろう。2000年代前半、NTTグループの海外進出の切り込み隊長の役割を担ったのが携帯電話会社のNTTドコモだった。
ITバブルの到来によってドコモは海外M&Aの先陣を切り、ドコモの世界進出は日本のIT戦略の象徴と称された。その後、日本の大企業はそろって海外でのM&Aに乗り出したが、ことごとく失敗した。
2000年にオランダのKPNモバイルに4000億円、英国のハチソン3GUKに1900億円投資した。ハイライトは01年、米国の携帯電話会社AT&Tワイヤレスに1兆2000億円を投資した。第3世代携帯電話とiモードの米国展開をにらみ、巨額投資に踏み切った。これがNTTグループの最大の投資案件となった。
だが、海外事業はいずれも失敗。05年にはすべて撤退し、損失額は1兆5000億円に上った。高い授業料を払ったが、懲りなかった。米国進出に失敗した後、次に目をつけたのはIT大国を目指しているインドだった。
09年にタタ・グループのタタ・テレサービシズ(TTSL)に2600億円出資した。TTSLは秒単位の課金など斬新な料金体系を導入してシェアを6位から4位に上げたが、上位企業の反撃を受けると失速した。
14年4月にインドからの撤退を決めた後は、出資時の契約に基づきNTTドコモはタタにTTSLの保有株の買い取りを要請した。タタはドコモの要求を下回る水準の買い取りを提案したため交渉は進まず、15年1月に国際仲裁裁判所に仲裁を申し立てた。ドコモはこれで海外のM&Aで4度失敗したことになる。
そこで、ドコモに代わって海外M&Aを担ったのがNTTデータである。ドコモの二の舞は許されない。
(文=編集部)