ヤクザも顔負けの口利き&賄賂得た甘利明元大臣、不起訴処分下した検察は「政治家の犬」である
あっせん利得処罰法は、政治家の汚職をなくす目的で2000年に議員立法で成立した法律ですが、今回の事件を通して政治資金規正法同様に網目の粗いザル法だったことが露呈しました。政治家や国会議員秘書が公務員に口利きをした見返りに報酬を受けることを禁じた同法は、違反した場合に3年以下の懲役が科されます。
この法律の構成要件には、金銭授受だけでは処罰を行えず、「議員権限に基づく影響力の行使」が必要になるという付帯条件が付いているのです。つまり、「なんとかしてやってよ」というだけでは権限に基づく影響力の行使にならず、「議会で取り上げるぞ」「国会で問題にするぞ」といった強い言辞がなければ法律上スルーできてしまうというのです。
ヤクザよりも怖い存在の大物国会議員秘書
今では暴力団ですら真正面から「なんとかしないなら東京湾に沈めるぞ」などと強い言辞を吐くことはありません。脅迫で逮捕されるからです。国会議員や暴力団員という存在そのものが、すでに威迫効果をもっているのは明白です。
甘利議員といえば、安倍政権の中枢に位置する大物政治家であることは、都市再生機構(UR)側も十分に認識していたことでしょう。無下に断れば厄介なことになるという認識があるがゆえに12回も面談し、非常に対応に苦慮したことが窺われるのです。
当初、UR側から建設会社に提示された補償額は1億8000万円です。これが、その後2000万円ずつ2段階で増額され、最終的に2億2000万円で合意に達しています。この増額が適正になされたものなのかも不明なのです。甘利氏の秘書が同席しなければここまで増額されることはなかったことでしょう。
国土交通省所管のUR職員は、甘利議員の秘書の交渉同席を断ることも不可能であり、ヤクザよりも厄介で怖い相手との交渉だったのではないでしょうか。UR職員も不正な支出が問われてしかるべき立場でしょう。
結果として、その見返りに甘利氏と公設秘書が合計700万円を得た上に、秘書2人は度重なる飲食接待を享受しています。補償額が4000万円増額され、700万円が見返りの賄賂であったと考えるのが普通の庶民感覚でしょう。
なぜ、東京地検特捜部は、消極的な対処しかしないのでしょうか。立件して司法の判断を仰ぐという対応こそが、本来の検察の姿であるべきです。これでは、「時の政権におもねる検察」と国民から見透かされ検察不信を招きかねません。