タバスコ、サランラップ…なぜ固有の商品名が一般的総称に?なぜ富士重はスバルに社名変更?
自動車メーカーの富士重工業は、2017年4月1日より社名を自社ブランド名である「SUBARU(スバル)」に変更することを発表。社名変更の狙いは「知名度の高いスバルブランドを社名にすることで、自動車事業により力を入れていく姿勢を鮮明」にするためだという。
こうした動きからもわかるとおり、商品名とマーケティングには大きな関連がある。身の回りの商品やサービスには、以下のようにある企業の商品名がそのまま一般名称として使用されていることがよくある。
「セロテープ」(ニチバン)…セロハンテープ
「タバスコ」(マキルヘニー社)…ペッパーソース
「サランラップ」(旭化成)…食品用ラップフィルム
「ウォシュレット」(TOTO)…温水洗浄便座
「テトラポッド」(不動テトラ)…消波ブロック
「ドライアイス」(ドライアイス社)…固体二酸化炭素
ざっと例を挙げただけでもかなりの数に上り、なかには「そうだったのか!」と驚くものもあるだろう。なぜ一企業のブランドの名称が、よく似た商品群を総称する代名詞となり得るのだろうか。立教大学経営学部教授の有馬賢治氏に解説してもらった。
類似品がオリジナルに勝つのは難しい
「これらの総称化したブランド名の特徴は、最初に市場で消費者に支持されたものが多いということです。従来の市場になかったまったく新しい商品を開発して、最初に世間に浸透させることで、結果として総称のような扱いになっていったのです」(有馬氏、以下同)
なかには、「味の素」「ヤクルト」「カルピス」など「SUBARU」と同様に登録した商標をそのまま社名に用いるケースも多い。では代名詞となることで、その発売元の企業にはどのようなメリットがあるのだろうか。
「売り手である企業側が、同種商品のブランドや機能にこだわりを持っていたとしても、買い手となる消費者には類似品の機能の差はそれほど興味がもたれないのが一般的でしょう。そのため、似たような商品がたくさん並んでいたとしても、自分の聞いたことのあるブランド名をつい選んでしまうというわけです」
名前が商標登録されてしまえば、他社は同じ名前で売り出すことができず、商品の総称として市民権を得た時点で広告的には圧倒的有利に立つ。その後、いくら類似品で機能に優れている商品が発売されようと、なかなかオリジナルに勝つのは難しい。