その後、A氏が直近で契約をとった顧客の保険について、契約後すぐに保険料の引き落としができなくなって早々に失効してしまった件を叱責され、C氏はまたA氏の左頬を強く殴ったので、A氏は席に倒れ込んでしまった。するとこんどはB氏が店の壁にかかっていたハンガーでA氏の後頭部を殴りつけ、倒れたままのA氏にかぶさるような姿勢となったC氏が、A氏の顔面を執拗に殴り続けたのだ。
殴打が一瞬おさまりA氏が席に座り直したと思いきや、またC氏はA氏にひじ打ちを食らわせ、その勢いでA氏は後頭部を壁に強打。口を切ったA氏は流血し、シャツやテーブルにも血が飛び散った。おしぼりで口を押さえていたA氏の後頭部に、B氏はさらにハンガーで殴打。頭からも流血する大惨事となってしまった。
C氏は直後、「気をつけろよ。必ず(保険の)復活やれよ!」と言い残し、A氏が気づいたときにはもう店を離れていた。この間、およそ20分ほどの出来事であった。
警察が捜査へ
後日診察を受けたA氏は、「左後頭部打撲、口唇受傷により7~10日間の加療を要す」との診断を受けたが、その後のレントゲン検査により、上顎骨骨折、左側外傷性顎関節炎、下顎左側第二大臼歯歯根破折も受傷していたことが判明。口腔内にも内出血があり、食事を摂るにも支障が生じる状況であった。また精神的にも強いショックを受け、しばらく出社することができない状況が続いた。
調べによるとA氏は本件暴行事件以前にも、同社社員より暴行を受けていたことが判明し、警視庁中央警察署に被害届を提出済である。
暴行には出血も伴い、被害者の制止も聞かずに執拗に続けられていた様子であり、かつ上司にあたる人物が率先して暴行に参加し、その場で誰も止める者がいない状況であった。
コンプライアンス遵守が厳しく求められる金融業界にあって、同社は「法令を守りルールにしたがった行動をとることに全社を挙げて取り組んでいます」と宣言しているが、本件についてはどうとらえ、どのような対処をおこなうのだろうか。筆者からの取材に対して、同社はこのように回答している。
「当社は今般ご質問いただきました事案について把握し、真摯に受け止めております。また、すでに、関係する社員が安心して執務できるよう、必要な措置を講じております。現在事実関係について厳正な調査を行っており、現時点で詳細をコメントすることは差し控えさせていただきますが、当社はパワーハラスメントを含むいかなるコンプライアンス違反も許容せず、そのような事実が判明した場合には、迅速、適切かつ厳正に対処いたします。」