@cosme、なぜ女性の3人に1人が利用?非常識なサービス、「選択の楽しさ」を提供
「@cosme」の秘密
――サービスを提供する企業が競合他社とうまく差別化できている具体例はありますか?
有馬 最近だと美容関連サイトの「@cosme」でしょうか。このサイトでは、各製品のリアルなクチコミを簡単に見ることができるのが特徴です。買わせるだけならプラスの評価のクチコミだけを掲載しておけばいいのですが、このサイトは化粧品を選択する楽しみを提供することをコンセプトに置いているので、必ずしも“売れればいい”という考え方でないのが支持される要因なのではないかと思います。
「@cosme store(アット コスメ・ストア)」という実店舗も展開していますが、そこでは店舗にないアイテムの情報も顧客に提供するといったことをしています。顧客が他店に流れてしまう危険があっても、「お客様に情報を提供する」というコンセプトを第一優先に考えているからこそできるサービスでしょう。顧客が何を求めているのかをしっかりと掴んだ良い例ではないかと思います。
――サービス開始から17年で月間1200万人もサイトを訪れ、20~30代女性の3人に1人が利用しているといわれるのも納得ですね。
有馬 ヒットする製品やコンテンツが出にくい時代ですが、「@cosme」のように、どのような満足を顧客に提供できるのかを工夫することで、企業は競争を優位に運ぶ機会が得られるのです。そのためのアイデア発想法のヒントの一つは、「常識」を疑ってみることです。普段常識だと思い込んでいる販売方法や製品のコンセプトを疑ってみると、今までとは違う角度からの魅力が発見できることがあります。思い込みや先入観を捨てて、新鮮な目線からビジネスを考えることによりヒントを発見できる可能性がより高まるのではないかと思われます。
(解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=A4studio)