ビジネスジャーナル > 企業ニュース > ある書店を襲った壊滅的悲劇と奇跡  > 3ページ目
NEW

「本屋なんか必要ない…」ある書店を襲った壊滅的悲劇と奇跡…天井剥がれ大量の本が水浸し

文=諸山誠/図書新聞
【この記事のキーワード】, ,

地震が起きて、正直、本屋なんか必要ないと思いました。だけど、そうじゃないと。張り紙へのコメントだけじゃなく、電話でも激励されました。ここまでお客様に思われているとは気付きませんでした。これだけ近い距離を意識して仕事をしていませんでした。代償は大きかったですが、それが理解できた。今後の仕事にも大きく影響してくるでしょう」(荒川店長)

【長崎書店】

 まるぶん店と同じく上通には、出版業界では名の知れた長崎書店がある。熊本市電の「新町」電停近くには、長崎書店の母体となった「長崎次郎書店」もある。長崎書店は当初、長崎次郎書店の上通支店として出店したが、戦後に経営を分離。その後、2013年に長崎次郎書店が休業、14年には長崎書店が経営を引き継ぐかたちで店舗を再開した。

 同店は4月14日の前震と16日の本震で、書棚からほとんどの本が落下するなどの被害にあったが、店舗内の影響は軽微だった。同店のスタッフたちが17~18日で復旧作業を終え、19日から営業時間を午前11時~午後5時に短縮し、店舗のレジ付近まで顧客を入れて、目的の雑誌や書籍はスタッフが用意するというスタイルで仮営業を始めた。姉妹店の長崎次郎書店は、その前日の18日から一足早く営業時間を短縮して仮営業を開始していた。

 同店の宮川洋一郎店長代理は「当初は、子連れのお客様などが『週刊少年ジャンプ』などのマンガ雑誌を購入されていました。地震後に開いている店はうちくらいでしたから、開いていることを喜んでくださるお客様もいました」と話す。

 ゴールデンウィーク(GW)後は、地震の影響で休校していた小中学校が開校し始めることもあって、学参に関する問合せが長崎書店に殺到したという。しかし、学参を扱っているまるぶんはいまだ休業中。長崎書店には学参そのものがない。そこで、熊本教販(熊本県教科書供給所)から期間限定という条件で了承を得て、店内のギャラリースペースで臨時販売することになった。

「まるぶんさんが休業されているので、GW前から本の売上は上がっています。金額では1.5倍くらいで、今もその状況は続いています」(宮川店長代理)

 同店の売上が上がったと思われる要因が、ほかにも考えられた。郊外店の閉店である。紀伊國屋書店熊本はません店はいまだ閉鎖され、金龍堂東バイパス店は廃業してしまった。

「本屋なんか必要ない…」ある書店を襲った壊滅的悲劇と奇跡…天井剥がれ大量の本が水浸しのページです。ビジネスジャーナルは、企業、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!