大渕氏は「天の声」に逆らった?
さて、長くなりましたが、今回の大渕氏の件、報道によると「法テラスを利用する場合、法テラスが立て替えてくれる弁護士費用以外を依頼人から直接もらってはいけない。それにもかかわらず、依頼人から直接差額の弁護士費用をもらった。依頼人からの返金の求めに対し、当初は拒否したが、5カ月後には弁護士会の説得もあって全額を返金した」とのことです。
おそらく、「品位を害した」ことを理由とする「1カ月の業務停止」なのでしょうが、「本人は法テラスの制度を理解していなかった」「すでに返金している」「問題となった弁護士費用は十数万円程度である」ことなどを考えれば、刑事事件として逮捕されたわけでもないですし、これまでの“相場”からすれば、せいぜい「戒告」が相当です。
それにもかかわらず、「1カ月の業務停止」ということは、「品位を害した」と判断した弁護士会の重鎮の方々からの指示を無視するなど、懲戒委員会の不興を買ったからでしょう。
実は、懲戒委員会が懲戒処分を判断する前には、とある方から「こうしたほうがいいよ」というアドバイスがなされることがあります。通称、「天の声」というようですが、弁護士会としては、身内の恥を公表することになる懲戒処分はなるべく下したがらない傾向にありますので、「天の声」によってすでに改悛したということになれば、「業務停止→戒告」や「戒告→懲戒しない」という軽減もあり得るわけです。
大渕氏の場合、テレビにも多数出演していて、わりとアグレッシブな発言もしていますので、「天の声」に対して、きっと強気の態度に出てしまったのでしょう。それによって重鎮の方々の不興を買い、これまでの“相場”からしても明らかに重い処分を食らった。それが、「真実にきわめて近い事実」と考えられます。恐ろしい話です。
(文・構成=編集部)