デリバリーヘルス、いわゆるデリヘルについては、この種の営業への賛否はともかく、存在自体を知らない人はいないだろう。
いわゆる風俗業全般を毛嫌いする人も多くいるが、街のファッションヘルス(店舗型)に行くよりは気軽に、自宅やホテルに女性を呼んで欲求を満たせるために、利用する人は多い。特に、現役の成人向けビデオ女優など、日常ではなかなか出会えない女性が在籍しているデリヘルが人気のようだ。
筆者は自身で利用はしないが、必要悪として存在を認める立場だ。このデリヘル、法律上どうなのかというと、風営法上は無店舗型性風俗特殊営業とされ、「人の住居又は人の宿泊の用に供する施設において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業で、当該役務を行う者を、その客の依頼を受けて派遣することにより営むもの」と定義された合法な営業である。
「性的好奇心に応じてその客に接客する」という回りくどい表現といい、突っ込みどころ満載であるが、いずれにせよ都道府県公安委員会(警察)に届ければ、過去5年に一定の犯罪を犯していないなど欠格事由に該当しなければ、店舗を構える必要がないため誰でも手軽に始められる商売ともいえる。仕入れは必要なく、掛かるのはほとんど人件費だけなので、悪徳業者が入り込みやすい業種ではある。
示談書
実はここに、ある「示談書」の写しが2通ある。本来は、この2通でひとつの示談書を構成するはずなのだが、これらは地方の中核都市から東京出張でホテル滞在中のA氏から提供されたものだ。
A氏が知り合いの勧めで都内のデリヘルBにデリヘル嬢を派遣してもらったものの、デリヘル嬢とトラブルになった際に作成されたものだそうだ。A氏によると、酔った勢いでついついデリヘル嬢に強引に本番を迫ってしまった。デリヘル嬢が即座に店に電話したところ、副店長なる者(C)が飛んできて、デリヘル嬢を帰したうえで、「規約違反だ。どう責任を取るんだ」とA氏を脅し始めた。