夫婦2人で月19万円の年金、半分以下に削減か…受給開始年齢も75歳へ引き上げも
今の若者世代は今よりひどい老後地獄
日本では90年代前半のバブル崩壊以降、少子高齢化の問題が浮上しつつありましたが、政府は本腰を入れることなく、事実上の放置状態を続けてきました。現役世代と65歳以上の高齢者世代の人口バランスが崩れれば、社会保障制度は機能不全に陥ります。子供の数は減る一方なのに待機児童問題は一向に解決しないまま、ただひたすら「少子高齢化・人口減少問題」は放置され続け、もはや「手遅れ状態」となっています。
ところで問題は、社会保障体制が崩れ始める10年後だけではありません。現在20~30代の人たちが65歳以上あるいは75歳以上の後期高齢者になる44年後の60年には、全人口に占める高齢者比率が4割を超えてしまいます(全人口は9000万人弱)。すなわち日本は、社会保障体制が崩れ始める10年後以降、高齢者が人口の半分近くまでに増えていき、ますます厳しい事態を迎えるわけです。
日本人の平均寿命は男性80歳、女性87歳ですが、健康寿命は男性71歳、女性74歳です。つまり、男性80歳、女性87歳時点で半数が死亡し、男性71歳、女性74歳時点で半数が介護を必要とする状態になる可能性が高いということです。
民間の有料老人ホーム施設に入るとなると、リーズナブルな施設の平均でも毎月1人分で25万円程度かかります。年金を1人で25万円分も受給できる人は今でも少ないですが、今後はもっと少なくなっていき、こうした民間の有料老人ホームですらビジネスモデルが成り立たなくなる可能性もあります。
そうなると、6畳一間に布団を敷き詰めた部屋に高齢者を5人も6人も詰め込む「無届介護施設」が、月4~5万円からありますが、日本の老人のほとんどが、こういう劣悪な施設で哀しい余生を送ることにもなりかねません。今の20~30代の人はあと40年そこそこで、こういう施設で人生の終焉を迎えねばならなくなる可能性が高いわけです。こうした事態を避けるためにも、拙著『老後に5000万円が残るお金の話』(ワニブックス刊)では、現役時代からできるサバイバルの要諦を説き、自助努力を推奨しています。
現役若者世代こそが政治に物申すべき
ところが現状では、世間の人々は平穏な世の中がこれからも続いていくかのように錯覚しています。
オリンピックなどやって浮かれている場合ではないのです。7000億円の東京オリンピック予算が2~3兆円に膨らみそうな一方、社会保障体制が崩壊して国民の命が危険に晒される可能性があるのです。