都市ガスより2倍も高い悪徳プロパンガス業者が野放し…法外な解約金に要注意
それでも大手電力は今年に入ってから標準家庭で数十円程度、大手都市ガスは100円前後の値下げを複数回行っています。これだけの原油安と円高傾向にもかかわらず値下げしないと、世論が許さないからでしょう。電力料金も都市ガス料金も公共料金(総括原価方式で政府の規制下)なので、「透明性」が発揮される良さがあるといってよいのです。
悪徳業者が跋扈するプロパンガス業界
ところが、こうした円高と原油価格下落の多大な恩恵を受けているはずのプロパンガス業界は、「透明性」どころか「不透明性」に覆われています。
実はプロパンガスの価格は、政府認可の「公共料金」ではありません。まったくの「自由価格制」ゆえに、地域によっては都市ガス料金の2~3倍近くも高い料金がまかりとおっているのです。
標準的な家庭では冬場に月間30立方メートル程度のプロパンガスを使用します(熱量は都市ガスの2倍なので、都市ガスの場合では60立方メートルで均衡する)。都市ガス(東京ガス)とプロパンガス業者Aの、従量制料金の価格差は以下のとおりです。
・東京ガス:基本料金1036円+単位料金128円×60立方メートル=8716円
・プロパンガス業者A:基本料金1800円+単位料金650円×30立方メートル=2万1300円
契約の時には、プロパンガス業者は「うちは基本料が1500円で単位料金が300円ですから、平均的ご家庭の冬場の30平方メートルでも1万500円と、都市ガス料金と大して変わらないですよ」などと言います。それを信じて契約すると、その後は知らないうちに単位料金が30円、60円とじりじり上げられていき、いつの間にかそれが500円、600円になるのです。
プロパンガスの1立方メートル当たりの仕入原価は、輸入元売会社がコストとマージンを乗せて220円ぐらいで販売します。それを卸業者がタンクローリーなどで小売店に運び、320円ぐらいで販売しています。そして末端の小売業者はそれを仕入れて400~450円で消費者に販売するという流れになっています。必然的に、悪徳業者は小売業者に多く、卸業者が直接消費者に販売しているケースでは、非常に良心的な価格になっている場合が多いのです。
一部業者は、「うちと契約していただけたら、配管工事から給湯器まですべて無償サービスでやりますよ」というセールスポイントで契約を迫ります。しかし、安いと思って契約しても、いつの間にか法外な単位料金に値上がりしていたのでは、たまったものではありません。