海外ユニクロ事業の通期の営業利益は13.7%減の374億円。グローバルブランド事業はJ Brandの減損損失138億円を計上したことから、営業利益は34.0%減の95億円にとどまった。
次の成長カードを探し当てた?
しかし、株式市場の反応は違った。今期は一転して業績が回復するとの会社側の見通しを好感して、買いが入ったと解説された。
17年8月期の業績予想の売上高は3.6%増の1兆8500億円、営業利益は37.5%増の1750億円、純利益は2.1倍の1000億円とV字回復を見込む。
だが、それだけではない。投資家は「柳井氏なら再び成長軌道に戻す力わざができる」と期待しているのだ。
フリース、ヒートテックに続く、大型のヒット商品を打ち出せるのか。ここが柳井氏の評価のポイントになる。
決算発表にジーユー(GU)の柚木治社長が同席した。国内ユニクロ事業の限界説がささやかれるなか、柳井氏はジーユーをユニクロと並ぶ2本柱に育てることを態度で示したのだ。ジーユーに対する期待感からファストリ株が買われたとの見方も一部にはある。
ジーユーは売上高1兆円の高い目標を掲げる
ジーユーは06年、ファストリとダイエーが業務提携し、ユニクロより低価格なカジュアル衣料を販売する新ブランドとして立ち上げた。千葉県・ダイエー南行徳店に初出店した。しかし、ユニクロと商品群が重なり鳴かず飛ばずの状態が続く。
転機になったのが09年。990円ジーンズが大ヒットした。ユニクロの半額以下の低価格で100万本を売り切った。11年に若者向けのファッションに軸足を移し、10代や20代の女性を中心に人気が出た。14年8月期に売上高は1000億円を突破した。
15年春、ガウチョパンツを発売。南アメリカのカウボーイが着用していた裾が広がった七分丈のパンツだ。若い女性だけでなく40~50代にも人気となり、発売2カ月で300万本が売れた。
今年春にはスカンツを投入した。一見、ロングスカートのように見えるパンツだ。これも大ヒットした。
女性向けトレンド商品がヒットしたことからジーユーの決算は絶好調。16年8月期の売上高は前年同期比32.7%増の1878億円、営業利益は34.8%増の222億円。営業利益率は11.8%。消費不況など、どこ吹く風の勢いを見せている。柚木社長はこう言い切った。
「これからの10年でブランドと会社をすべてつくり変える。我々は普通の会社では終わらない」