中堅企業の関心事のひとつである事業継承については、「明確な計画がある」と回答した企業は12%にとどまっており、「計画はないが、今後考えていく予定」とした企業が38%、「計画もなく、今は考える予定はない」とした企業は15%と合計で53%の企業が現状で「計画なし」だった。
事業継承の課題について複数回答で聞いたところ、「次の経営陣になる人材の教育」としたのが57%、「次の経営陣になる人材の確保」とした比率は55%と、いずれも半数以上の企業で課題となっていることがわかった。
今回の結果についてアメックスは「中堅企業の20年に向けた事業戦略や優先事項など、今後4年間の取り組みが明らかになった。経営陣は将来を見据えた戦略の立案と遂行が求められている」としている。
34.9%の企業がプラスの影響
一方、別の調査でも20年の東京五輪が与える影響について「プラス」を示すデータが出ている。帝国データバンクが5月に全国で2万3586社を対象に調べた調査でも、有効回答を得た1万588社のうち、66.9%が関心あるとし、34.9%の企業がプラスの影響があると回答した。また、おおむね7社に1社が自社の商品やサービスに期待をかけていることもわかった。
対象とする企業数や質問内容は異なるものの、これら2つの調査が共通して示唆しているのは、東京五輪というビッグイベントを活用して、それぞれの企業がビジネスの飛躍のきっかけにしたいという意向を持っているということである。目標効果で企業が事業を拡大したり、収益力を高めたりする動機付けになることの重要性である。20年という大きな目標を掲げてそれに向かって前進するのは、日本はこれまでの経験をみても得意だといえる。
一方で、東京五輪終了後の反動を心配する企業もあり、帝国データバンクの調査でも五輪関連需要を慎重に見ている企業も多い。
では次に、東京五輪に向けて、企業が具体的にどのような取り組みをしているのかをみていきたい。
ニューオ―タニの施策
ホテルニューオータニが開業したのは1964年9月1日。前回東京五輪の40日前である。富山県出身で力士を経て、鉄鋼業の大谷重工を創業し、事業家として地歩を築いた大谷米太郎氏が、東京都の依頼を受けて東京五輪のために開業した。このとき、大谷氏はすでに83歳。開業から4年後に87歳で没した。それから50年が過ぎ、ホテルニューオータニは再び東京五輪を迎える。