クレジットカード大手、アメリカン・エキスプレス・インターナショナル・インコーポレイテッド(アメックス)は、日本の中堅企業250社を対象として東京五輪・パラリンピックが開かれる2020年に向けたビジネス見通しについての意識調査を行い、「中堅企業調査レポート2016」をまとめた。レポートによると、中堅企業の多くが20年に向けて成長への期待と警戒の間で揺れ動いていることがわかった。
意識調査は年間売上規模が約5億円以上、250億円未満の企業を対象とした。それによると、ビジネスチャンスととらえて成長を図るとする企業や、業績向上を見越している企業がある一方、需要が増えても人材確保が困難だったり、事業転換や現業から脱したりする動きを見せるなど期待と不安が交差している様子が示された。また、20年以降の反動を懸念し、業績悪化を見込んだ事業計画を立てる会社もみられた。
具体的には、3年から5年後にかけて景況感が「現状より改善する」と予測した企業の比率は26%にとどまり、「現状と変わらない」が44%、「現状より悪化する」としたのは29%となり、決して楽観していない様子が示された。最大のリスクについては複数回答で、52%が「国内経済の状況」をあげ、次いで「労働人口の減少」が33%、「個人消費低迷」としたのは30%だった。
20年に向け「事業戦略・事業計画がある」とした企業は60%に上り、逆に「ない」とした企業の40%を大きく上回った。事業戦略に20年の東京五輪が影響しているとした企業は「非常にある」「多少ある」とした企業の合計で40%に上り、五輪が大きなきっかけになっていることがわかった。
会社について優先度の高い取り組み(複数回答)として最も多かったのが「新規顧客の獲得」で、43%に達した。次いで「スタッフの能力向上と新しい技術のある人材確保」が40%、「費用削減」をあげたところが37%だった。
海外展開については、グローバル経済の動向がビジネスに与える影響について「非常にインパクトがある」「多少のインパクトがある」とした企業は51%で過半となった。なかでも中国経済の動向の影響について「非常にインパクトがある」「多少のインパクトがある」としたのが合計で46%と、中国経済の動向を半数近くの企業が意識していることがわかった。