利用者はみんな電力と契約すると、応援したい発電所を選ぶことができる。そうすると、電気料金のなかから応援金が、その発電所に行くという仕組みだ。かあさん牛のヨーグルト工房発電所では、応援してくれた消費者には、ヨーグルトを特典として贈ることも現在検討している。こうして、発電所と消費者が直接つながることができるのが、顔の見える発電所の魅力だ。
不純な動機
この奇抜な発想は、意外にも不純な動機から生まれたと、大石社長は語る。
「07年くらいに、たまたま私の携帯電話の電池が切れそうになりました。すると目の前にきれいな女性がいて、携帯を充電できるソーラー付きのキーホルダーをぶら下げていたのです。このお姉さんから電気を分けてもらえるんだったら、200円で買ってもいいなと、隣のおじさんからだったら20円がいいとこだろうと、そう考えたのがもともとのきっかけですね」
その発想を温めて、11年に起業。徐々に発電所を増やしてきた。
「でっかい発電所から送られてくるのとは違って、『みんながそれぞれ小さくつくった電気が、自分の家に来ているんだ』と思うと、『自分はその人たちに支えられている』という気持ちにもなると思います」
現在話が進められているなかには、ミュージシャン、プロレスラー、アイドルによる発電もある。
「環境問題などに積極的に関わっているミュージシャンで、東日本大震災以降の問題意識で自然エネルギーの発電所を持ってる方がいらっしゃるんです。応援してもらったら、1曲無料でダウンロードできるとか、そうした特典をつくれる可能性がありますね。プロレスラーの方は体力があるから、自らつくった発電所がある。自分でつくった電気で、金網デスマッチで電気ショックを受けるなんてことができたらおもしろいよねってことで話が進んでいます。アイドルの方は事務所と話が進んでいて、応援してくれたら、本人とチャットができるなどの特典を考えています」
自然破壊も回避
原発事故で被害を受けた福島でも、自然エネルギーの発電所が増えている。復興のために応援するということも今後は考えられる。顔の見える電力のラインナップはどんどんと増えていきそうだ。
自然エネルギーでもメガソーラーなどは、森林を切り開いてつくられるなど、自然破壊につながることもある。みんな電力は、小規模分散型の電力を消費者とつなげていくという考えで、そうした懸念はない。