17年12月期の売上目標を1500億円から900億円に下方修正
ラオックスは、爆買いを前提とした中期経営計画の見直しを迫られた。中期経営計画では、16年12月期の売上高は1000億円、17年12月期のそれは1500億円を掲げていた。
しかし、爆買いの失速により、16年12月期の売上高は650億円の見込みで、当初の計画から350億円の目減りだ。また、17年12月期の売上目標も900億円へと従来の目標から4割も引き下げた。
爆買いに急ブレーキがかかったことで、全店の売上高は前年同期の半分以下と苦戦しており、900億円の売上目標すら疑問視する向きも少なくない。
体験型消費を盛り込んだ大型アウトレット店に進出
またラオックスは、海外客の集客の拠点となる大型アウトレット店に進出した。
15年12月、中国・上海の不動産大手、緑地集団と共同で千葉市の複合商業施設、千葉ポートスクエアを100億円で取得した。資本金は93億円で、緑地集団が65%、ラオックスが35%出資する合弁会社が施設全体を運営する。
千葉ポートスクエアは、JR京葉線千葉みなと駅から徒歩10分、成田国際空港から40キロほどの場所にある。28階建てのオフィス棟、270室のホテル、商業棟やホール、1100台収容の駐車場がある複合商業施設で、敷地面積は2万1000平方メートル。
ラオックスは商業棟のキーテナントとして入居。売り場面積は1万6500平方メートル。全面的に改装し、衣料品や家電、化粧品などを販売するアウトレット店を開く。ターゲットは、成田国際空港から帰路につくツアー客だ。ラオックス初となる衣料品のアウトレット店は海外からの客だけがパスポートを提示して利用できる。飲食をしながらショーなどを楽しめる施設づくりを目指している。
千葉ポートスクエアについては、「商業棟はフィットネスジムと保育園が入居しているだけで、閑古鳥が鳴いている。オフィス棟の入居率は6割」(関係者)という。入居率の低迷で、施設を運営していた千葉新都心開発が05年に倒産。その後、海外の投資家の間で転売のキャッチボールが繰り返されてきた、いわくつきの施設だ。
千葉ポートスクエアを皮切りに、レジャー施設などの体験型消費需要の開拓を次期中期経営計画の柱に据える。
だが、株式市場の反応は鈍い。ラオックスの株価は、爆買いで急成長していた15年7月24日には5640円の最高値をつけたが、爆買いバブルが剥げ落ちて株価は急落した。同年12月7日の終値は801円で、ピーク時のわずか14%にとどまっている。
体験型消費を盛り込んだ大型アウトレット店で、爆買いの花はもう一度開くだろうか。
(文=編集部)