DeNAがキュレーションサービス2社を50億円で買収
14年10月1日、DeNAはインターネット関連ベンチャー2社を50億円で買収したと発表した。2社は特定のテーマに沿ってネット上の記事などを抽出して利用者に提供するキュレーションサービスを手掛けていた。
キュレーションサービスは記事を自分で探す時間がない人や特定分野の情報だけを知りたい人に利用が広がっており、DeNAは既存事業が伸び悩むなか、新たな事業に取り組む目的で買収した。
このとき買収したのは、iemo(イエモ)とペロリだ。13年12月の設立のiemoは、住まい・インテリア分野に特化したサイト「iemo」を、12年8月設立のペロリはMERYを運営していた。
2社合計で社員数は20人だったにもかかわらず、買収金額は総額50億円。DeNAにとって国内で初となる大型の買収案件だった。
守安社長は新しいキュレーションサービスを順次立ち上げ、「2年後にキュレーション事業全体で利用者を5000万人まで増やす。利用者を電子商取引などに引き込んで事業を広げていく」と抱負を語っていた。
16年4~9月期はキュレーション事業の月間利用者数は1億6000万人を超えた。売上高はおよそ25億円で、その半分をファッションのMERYが占める。16年9月は単月黒字を達成、16年4~12月期の営業損益は800万円の黒字になる見通しだった。18年3月期中に10億円の利益を創出するとしていた。
だが、10媒体をすべて閉鎖。キュレーション事業は、再開のメドが立っていない。それどころか、キュレーションサイトをめぐる問題の余波が広がっている。
「週刊文春」(文藝春秋/1月5日・12日号)は、「『50億円損させた女』村田マリ DeNA社長とキスの過去」と報じた。酒席で一緒になった守安社長に村田氏はiemoのすごさを売り込み、その直後にiemoの買収が決まったという内容だ。
多くのベンチャー起業家は、新しいアイデアのネットビジネスを立ち上げ、ネット関連の大手や同業者に売却してリターンを得るビジネスモデルを描く。村田氏もその典型例だ。早稲田大学文学部を卒業し、サイバーエージェントに4年勤めた後、27歳でウェブ制作会社を設立。ソーシャルゲーム事業に転換させ12年にgumiへ売却した。