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仏国でも「まさかの極右大統領」当選で仏国第一主義も…各国が自国第一、世界分断で混沌

文=真壁昭夫/信州大学経法学部教授

 こうして英国の社会は、目先の利益を重視し、ブレグジットを選択した。それは、長い議会制民主主義の歴史と伝統を持つ英国の政治が、目先の大衆の利益を重視する“ポピュリズム政治”に傾斜していることを確認する重要な機会になった。この決定を受けて、すでに右派のポピュリズム政党が支持を集め始めていたオランダやフランスなど、大陸欧州各国でも“自国優先”を求める世論が追加的に高まっている。その主張はシンプルであり、EUから離れ、国境管理と司法権を確保すべきだということだ。

 そして、昨年11月の米国大統領選挙でも、大方の予想と異なり“アメリカ・ファースト”を強調するトランプ氏が大統領に当選した。先月20日の正式就任後、トランプ氏は法律を十分に理解しないまま、中東などからの入国制限に関する大統領令に署名した。そして、英国はEUよりも米国との関係を強化しようと動き始めている。このようにポピュリズム政治が蔓延するなか、各国は目先の利益を重視し、利害が一致する者同士、結びつきを強めようとし始めている。

注意が必要なフランス大統領選挙

 世界的にポピュリズム政治の熱気が蔓延するなか、フランス大統領選挙の動向には注意が必要だ。世論調査では、最終的にルペン氏は大統領に当選しないとの見方が目立つ。欧州経済を専門にするエコノミストらのなかにも、そうした考えを持つ者が多いようだ。しかし、英国の国民投票、米国大統領選挙のように、選挙の結果は投票結果を見るまでわからない。はじめからこうなると、決め打ちすべきではない。極右政党からの大統領誕生の可能性は排除できない。特にトランプ氏の大統領当選は、フランス第一の主張の追い風になっている。

 もしルペン氏がフランス大統領に当選すれば、EU離脱、ユーロ離脱に向けた取り組みが進められるだろう。ルペン氏のアドバイザーからは、大統領に当選すればユーロを廃止し、各国通貨を束ねた概念上の通貨を作る。それと各国通貨の交換が可能な制度への移行を求める考えが示されている。これはユーロ発足前に使われていた欧州通貨単位(ECU)の時代に戻り、フランを使おうという考えだ。

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