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しかしこうした特殊な例を除けば、名の通った一般の企業の有価証券報告書の定性要因に虚偽記載があったとして摘発された例は「聞いたことがない」(証券市場に詳しい有識者)。これが摘発されるようになれば、企業に緊張を求める画期的なことであり、有価証券報告書や内部統制報告書の定性要因に関する記述は、体裁を整えるだけの空文ではいられなくなる。
SESCの関係者は、データ偽装の発覚で経営トップが引責辞任したり、経営の根幹が揺らいだ企業の名前を挙げており、これらが定性要因の虚偽記載になる可能性を見極めようとしているようだ。
(文=山口義正/ジャーナリスト)
●山口義正
ジャーナリスト。日本公社債研究所(現格付投資情報センター)アナリスト、日本経済新聞記者などを経てフリージャーナリスト。オリンパスの損失隠しをスクープし、2012年に雑誌ジャーナリズム大賞受賞。著書に『サムライと愚か者 暗闘オリンパス事件』(講談社)。
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