学校法人「森友学園」に大阪府豊中市の国有地が格安で払い下げられていた問題で、民進党など野党は連日、衆院予算委員会で安倍晋三首相を追及している。同学園は今春、その土地に新しく小学校を開校する予定で、首相の昭恵夫人が「名誉校長」に就任することになっていたものの、問題発覚後に辞退した。
安倍首相は「私や妻が(認可や国有地払い下げに)関係していたということになれば、これはもう、まさに、私は総理大臣首相も国会議員も辞めるということははっきりと申し上げておきたい」とヒステリックにみえるほど気色ばんで断言したこともあって、この問題は今後の展開次第では政局になりつつある。
取材を進めているジャーナリストの須田慎一郎氏は、大きなポイントは2つあるという。
「まず、格安での払い下げです。建設工事中に地中からゴミが見つかり、財務省近畿財務局はそのゴミの撤去費用を8億1900万円と見積もった。それを土地の鑑定評価額9億5600万円から差し引いた約1億3400万円で国有地を売却したわけですが、この撤去費用が高すぎるというわけです。しかも、学園側はそのゴミを撤去していないといわれています」
この値引きは、森友学園側が「想定以上のゴミが埋まっていた」と近畿財務局に申し立て、土地を管理していた大阪航空局が算定したゴミ撤去費用を、近畿財務局が土地価格からそのまま差し引くかたちで行われた。国会で、森友学園側との交渉記録を提出するよう求められた財務省の理財局長は「記録は廃棄した」と答弁した。今後、会計検査院がこの国有地売却について検査することになっており、売却価格の設定やゴミ除去費用の算定にチェックが入る。
「財務局は『撤去するかしないかは先方の都合』と言っているが、そこはやはり問題です。大きく金額を見積もり過ぎたのではないか。本来の除去費用との差額分を返還させるという案が、落としどころとして出てくるかもしれません」(同)
もう1つのポイントは、大阪府の問題だと須田氏は指摘する。
「2014年に私立小中学校の設置基準を緩和したこともあるが、それでもかなりスピーディーに学校認可が下りています。認可するにあたって、なんらかの特別な意図が働いていなかったのか」