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タカタ、再建交渉が完全に暗礁か…実質債務超過、創業家がいまだに影響力保持に執着

文=河村靖史/ジャーナリスト
タカタ、再建交渉が完全に暗礁か…実質債務超過、創業家がいまだに影響力保持に執着の画像1昨年、タカタの株主総会で辞意表明をした高田重久会長兼社長(写真:ロイター/アフロ)

 欠陥エアバッグ問題を抱えるタカタ問題が、再び混迷を深めている。タカタの経営再建について第三者の立場から検討する外部専門委員会は、スポンサー企業として米国のキー・セイフティー・システムズ(KSS)を推薦した。しかし、KSSがタカタの経営再建について法的整理を前提としていることに、株式の約6割を握る創業家が強く反発。さらに、タカタ製エアバッグのリコール費用を肩代わりしているかっこうの自動車メーカーも、スポンサーとしてのKSSを不安視する意見もある。三者三様の思惑が交錯するなかで、タカタ問題の決着は依然として不透明だ。

「経営再建策の策定にあたり、リコール交換部品供給を含めた製品の安定供給を最優先に考えており、全てのステークホルダーに配慮した、法的整理の方法によらない関係者合意による再建の方向性を目指している」

 タカタは、外部専門委員会がスポンサーとしてKSSを選任したと報じられると、このように主張するコメントを発表した。

 タカタ製エアバッグが展開する際、異常破裂して金属片が飛散し、これによって乗員が死傷する事故が発生し、2016年10月までに米国内だけで11人が死亡している。使用している火薬の原材料が特殊なもので、高温多湿の環境下に置かれると、不具合が発生するとみられている。これを採用している自動車メーカー各社は、乗員の安全を最優先にするため、正確な原因が不明なままリコールに踏み切った。

 タカタ製エアバッグのリコール費用は1兆3000億円にのぼると見られるが、現在は自動車メーカーがほとんどを肩代わりしている。費用負担について交渉してからタカタに求償することになることから、タカタは潜在的に多額な債務を抱えている状態だ。

 また、タカタは米国司法省が課す罰金、事故被害者や遺族への損害賠償などの負担もある。タカタの自己資本は16年3月末で1200億円で、潜在的な債務によって債務超過に陥るのは確実。このため、弁護士などで構成する外部専門委員会が、タカタの経営再建について検討してきた。

中国に技術流出の懸念

 外部専門委員会が選定してきたタカタのスポンサーには当初、5グループが名乗りをあげていた。最終段階でKSSとオートリブの2陣営に絞り込まれ、外部専門委員会は最終的にKSSをタカタのスポンサーに推薦した。オートリブの場合、部品の供給などは滞りなく進むものの、エアバッグのグローバルでのシェアが高くなり過ぎるため、当局の認可までに時間がかかり過ぎるためとみられる。

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