市民が刑事告発
そこで木村氏は、国を訴えて会見を開けば、マスコミが取り上げてくれると考えた。2月8日、情報公開請求した国有地の売却額が非公開とされたことに対して、大阪地裁に国を提訴した。結果、2月9日に朝日新聞が報道し、現在に至る。木村氏はこの裁判の展開についてこう話す。
「2月10日には、黒塗りのない契約書のコピーが国会議員に出回り、私も入手しました。なので、裁判そのものが打ち切られるのかなと思っていたところ、3月14日に1回目の公判が開かれ、なんと国が全面的に争ってきました。黒塗り部分の契約金額が1億3400万円であることは、すでに広く報じられており、それでも国が争うというのは、何を考えているのかなと。
ただ、国は非公開にする理由として『森友側から非公開にしてほしいと強い要望があった』ことを挙げていますが、籠池泰典氏は『(国から)非公開にもできますよと言われた』と証言しているので、裁判ではその食い違っている部分を追及していきたい。それから、私に届いた非公開の決定通知書には『当該法人の正当な利益を害するおそれがある』と書いてありますが、その“正当な利益”が何か、裁判で問い質していきたい」
木村氏は3月22日、市民230人との連名で、財務省近畿財務局(氏名不詳)を背任罪で大阪地検に刑事告発した。国有地売却で不当な値引きをして国民に損害を与えたという内容だ。
「個人を特定すると、その人が故意に損害を与えたということを立証しなければいけないので、ハードルが高い。それで氏名不詳ということにしました。大阪地検には『特捜部というものがありながら、何もしないというのは許されないよ』とプレッシャーをかけていきます」
森友問題が大きく報道されて以来、「忖度」という言葉がキーワードとして取り上げられることも多くなったが、木村氏は「忖度という言い方はおかしい。直接的な政治的圧力があれば忖度ではない。その圧力の実態がまだ解明されていないだけ」と今後も追及し続ける意思を強調した。
(文=横山渉/ジャーナリスト)