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この事例では、多摩川衛生組合も柳泉園組合も、構成市では三多摩地区の先進事例に漏れず、水銀含有製品を有害ごみとして別個に分別収集するような、ごみ問題に意識の高い自治体であった。柳泉園組合の場合は、構成市の有害ごみをすべて清掃工場の敷地内に回収。多摩川衛生組合では、構成市の内2市(狛江市と稲城市)は組合に回収し、他の2市(府中市と国立市)は独自に回収したうえで水銀処理施設に運んでいた。
その多摩川衛生組合で、構成市から運ばれてきた有害ごみを焼却炉で焼却していたのである。有害ごみとして分別回収するのは、市民がごみを出すときに可燃ごみに混入しそのまま焼却されれば、大気汚染をもたらすからである。市民もその点を理解し、分別収集に協力してきた。構成市の自治体と官民で行ってきた協力態勢の下でのルールを、焼却炉を管理する自治体が破っていたのである。
多摩川衛生組合の構成市である府中市の生活者ネットワークの市議会議員らが、情報公開によってこの事実を突き止め、同組合が有害ごみを09年12月と10年2月に「試験焼却」と称して合計約8トンを焼却していた事実を認め、「処理費の軽減を図るために」(同組合管理者)焼却していたと釈明した(生活者ネット市議会議員 府中市前田弘子市議会議員レポートより)。
多摩川衛生組合:粉砕蛍光管を焼却炉に投入(小川ひろみ生活者ネットワークHPより)
焼却炉から煙突へと排出される水銀排ガスは、途中でバグフィルターという集塵機で水銀を捕獲し、煙に交じって大気放出されない工夫が行われている。その際に捕集したものを飛灰(ひばい)といい、焼却炉の燃えがらと一緒に「焼却灰」として日の出の最終処分場に送られていた。当然、飛灰には大量の水銀が含まれることになる。
日の出の処分場では、埋め立て処分場が逼迫し、送られてきた焼却灰を原料として「エコセメント」につくり替える工場が設置され、つくられたエコセメントは公共事業などの建設資材として使用されている。市町村の清掃工場で水銀混入ごみを焼却すれば結局、このエコセメントに重金属が含まれることになり、建設資材に有害物である水銀が混入することになる。
この件では、多摩川衛生組合の石川良一(稲城市長)管理者が引責辞任し、焼却灰を運び込む日の出の広域圏事務組合から焼却灰の受け取り拒否の対応を受けた。
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