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米国のローカル航空会社向けの受注契約の内訳は、スカイウエスト航空が200機、トランス・ステイツ航空が100機、イースタン航空が40機、航空機リース会社のエアロリースが20機となっている。米国での受注は計360機あるが、最悪の場合、全数がキャンセルになるおそれがあるのだ。MRJの競合機の離陸が21年に迫っているだけに、事態は楽観を許されない。
膨張する開発費、巨額違約金発生の恐れも
納入延期によって、MRJの開発費用は大きく膨らむことになる。3000~4000億円とみられていた開発コストが、さらに3~4割増える見通しだ。開発当初は1500~1800億円と見積っていたので、およそ3倍に膨らみ、5000億円を超える可能性が出ている。
三菱重工の子会社でMRJの製造を任されている三菱航空機は、16年3月期の決算公告によると資本金は500億円、資本剰余金は500億円。これに対して利益剰余金は998億9600万円の赤字で、16年7月に債務超過になったと公表した。64%を出資する三菱重工が資金の不足分を毎月、補填している。
三菱航空機は設立以来、赤字経営が続き、当期純損失が毎年積み上がってきた。純損失額は14年3月期が94億500万円、15年3月期に177億1500万円、16年3月期になると305億2200万円に膨らんだ。
受注した447機の引き渡し時期は18年以降、順次やってくるが、当然、間に合わない。そうなると、納期遅れによる違約金の支払いが発生し、赤字は一段と積み上がることになる。ANAも、納期の遅れに伴う違約金を「請求しない」とは明言していない。
MRJは、初の国産ジェット旅客機という国家プロジェクトだ。だが、本当に離陸できるのか見通しが立たない。飛んだとしても、事業の採算の目安といわれる1000機規模の受注を確保できる保証はない。
(文=編集部)
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