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外食産業並み巨大パチンコ市場を支える中毒者たちの実態…多額借金抱え打ち続ける

文=山下辰雄/パチンコライター
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「借金ですか? 300万ぐらいじゃないかなぁ」

 50歳独身の彼は、そう語ると休憩中の台に戻っていったが、今日もまた、爆発を夢見てリーチがかかると「どんどん!」と台を叩いていた。

今後は格差拡大が進むパチンコ業界

 こうした、体力(資金)と意気のあるユーザーが業界を支えるという図式は、ホールにおいても成り立つ。

 店舗数同様、パチンコパチスロの設置台数も大きく数を減らしているかといえば、そうではない。約474万台(00年)から約458万台(15年)の微減にとどまっている。

 これは、体力のない店舗が潰れ、勝ち組である大規模チェーンが店舗の大型化を進めた結果である。「この傾向は、今後も続くだろう」とAさんは予測する。

「業界のバブルは終わりました。今後は勝ち組と負け組のホールがはっきり分かれ、格差がどんどん広がるはず。でも、それはこの業界に限らず、どの世界でも同じことですよね。成熟していくにつれて優劣がついてしまうのは仕方ありません」(Aさん)

 15年には、パチンコメーカーのマルホン工業と奥村遊機が相次いで倒産。「ついにメーカーが潰れる時代になったか」「次は、あのメーカーが危ないんじゃないか」と業界関係者は戦々恐々としたものだが、その後、倒産したメーカーはない【※1】。

「市場規模は小さくなり、パチンコホールがいくつも倒産しました。でも、全国で『おらが町から、ホールが1軒もなくなった』という声を頻繁に聞きますか?」と語るAさんは、業界の将来を楽観視しているわけではないが、決して悲観することもない。

 現在、パチンコ・パチスロ業界では、メーカーとホールが力を合わせて業界のイメージ改革や社会貢献に取り組んでいる。ゴルフツアーの「SANKYOレディースオープン」や東京ドームのフェンス広告を挙げるまでもなく、パチンコ関連の企業はさまざまな場面で広告主やスポンサーになっている。

 また、新規ユーザーやライトユーザーを取り込むために「遊パチ」という、大当たり確率が高く遊びやすい遊技機の導入も積極的に行っている。これらの取り組みが実を結ぶには多くの時間を要すると思われるが、ヘビーユーザーに支えられるなかで、そのほかの層にも訴える試みは今後もしっかりと続けられていくだろう。

 これまでも、パチンコ・パチスロ業界はたびたび大きな壁にぶつかってきた。いわゆる「みなし機」の撤去問題によって、1998年と2005年頃にもホールの倒産件数が増え、「はたして、あと10年もつのだろうか」と業界の将来を危ぶむ声が相次いだ。

 しかし、それから10年以上たった今、さまざまなレジャー産業が衰退するなかで、パチンコ・パチスロ業界はいまだ巨大市場を維持している。この現状こそが、「パチンコ業界はなくなるのでは?」という疑問に対する答えだといったら、大袈裟だろうか。
(文=山下辰雄/パチンコライター)

【※1】15年秋におけるタイヨーエレックの工場閉鎖、社員整理およびサミーへの開発・生産の移譲を倒産と見る向きもあるが、11年にはすでにサミーの完全子会社となっているため、事実上の企業グループ内再編といえる。

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