昨年12月、福岡県福岡市のJR博多駅前であるイベントが開催されました。それは、ご当地のゆるキャラが出演する観光PRショー(ヒーローショー)で、企画したのは同県鞍手郡鞍手町と株式会社悪の秘密結社という民間企業でした。
悪の秘密結社は、ヒーローショーの悪役に特化したイベント会社。鞍手町初のゆるキャラとして誕生したものの、あまり活躍できていない「喜楽総帥」をリプロデュースし、ゆるキャラの新たな活路を見いだすために、このショーを企画したそうです。同イベントでは、日本初となる「町長が悪の秘密結社と戦う」シーンも盛り込まれるなど、盛況を見せました。
一時期、メディアやイベントに頻繁に登場していたゆるキャラですが、ここ最近はあまり見かけなくなった感が否めません。町おこしなどにも使われるゆるキャラですが、「地方創生」が叫ばれる今、どのように生かしていけばいいのでしょうか。そのヒントを探るべく、悪の秘密結社代表取締役の笹井浩生氏に話を聞きました。
SNSでは「鞍手町っておもしろい」という投稿も
――まず、昨年12月の観光PRショーの様子や感想などを教えてください。
笹井浩生氏(以下、笹井) 当日はクリスマスイベントも兼ねているということで、お酒や食べ物がたくさん提供されるような場所でした。最初は「大丈夫かな?」と思ったのですが、MCの方にしっかり呼び込んでもらい、音楽が流れ出すと、家族連れをはじめ多くの方に集まっていただきました。
その後の握手会や撮影会も大盛況で、喜楽総帥、鞍手町長、(地元タレントの)山本華世さん、弊社の「ヤバイ仮面」と戦闘員らと一緒に写真が撮れるということで、みなさんに喜んでいただけたと感じています。
――イベント後の反響や、感じたことを教えてください。
笹井 テレビで放送されたインタビューでは、地元の方が「鞍手町がこんな取り組みをしていることを知らなかった」と答えていましたが、多くの人に知ってもらうことができたことは良かったと思います。町長をはじめ、関係者の方々に全面的にご協力いただけたことが成功の要因だと思っています。
――町長のファンも増えたのでは?
笹井 当日、一番盛り上がったのは町長の登場シーンで、かなりウケていました。その後、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)でイベントの反響などを調査したのですが「鞍手町っておもしろい」という投稿がいくつも確認できました。
――今回、鞍手町と一緒にショーを行うことになった経緯やきっかけを教えてください。
笹井 鞍手町には廃校になった中学校があるのですが、現在はアニメやコスプレに特化したインキュベーション施設として再利用されています。人的なご縁で、その施設に入居させていただいたことが大きなきっかけでした。