タカタの民事再生法申請の動きが報じられた6月16日、東京商工リサーチは『製造業の負債総額ランキング』【※1】を発表した。
欠陥エアバッグの大規模リコール問題に揺れるタカタだが、仮に倒産となれば、製造業では戦後最大の規模となる。
6月12日に公表されたタカタの「定時株主総会招集通知」によると、2017年3月期決算の負債総額(連結ベース)は3978億1200万円だが、自動車メーカー各社が負担しているリコール費用を債務に含めると、負債総額は1兆円を上回る見通しだという。
これまで製造業では、16年11月に大阪地方裁判所に特別清算を申請したパナソニックプラズマディスプレイの負債5000億円が最大の倒産だった。タカタが法的整理に踏み切った場合、いわゆるダブルスコアで製造業の戦後最大となる。
全産業で見ると、00年10月に会社更生法を申請した協栄生命保険の負債4兆5296億9300万円が戦後最大だ。また、負債額が1兆円を超えたのは、これまで8社。タカタの数字は、その9社目になると同時に、戦後に倒産した企業の負債総額では歴代8位の日榮ファイナンス(負債1兆円)を上回る可能性がある。6月16日付日本経済新聞(電子版)も「タカタの負債規模、全産業で歴代8位」と伝えているが、いずれにせよ、産業史に残る倒産劇となることは間違いない。
一方、タカタの倒産で注目されるのが取引先との関係だ。一般的に、自動車業界は緻密なサプライチェーンが構築されており、部品などの安定供給を図るために関係各社は取引に関して独自に判断しづらい構造といわれる。
同じく東京商工リサーチの『2017年2月27日発表「タカタグループの国内仕入先」アンケート調査』(タカタグループが発注する51社が対象)では、「タカタグループとの取引方針に変更の予定はありますか?」という質問に約9割の45社(構成比88.2%)が「現在の取引条件で取引を続けたい」と回答している。
また、「万が一、タカタが法的整理による再建となった場合、望むことは何ですか?」という問いには、28社(同54.9%)が「売掛金等の債権の全額弁済」と答えており、当然ながら債権の全額保護が求められている。
タカタの動向および取引先への影響が注目されるところだ。