スタバ好きを公言する人は少なくない。14年度のJCSIで知覚価値以外の5つの指標で1位だったというのも頷ける。スタバに期待し、コーヒーを愉しみ、スタバに満足し、友人・知人に推奨する人が後を絶たなかった。しかし、価格の妥当性が足を引っ張り、顧客満足は低下することになってしまった。
一方、ドトールは知覚価値、つまり価格の妥当性を評価されたことで顧客満足が上がった。顧客期待、知覚品質、推奨意向の順位は低いものの、知覚価値が高いために顧客満足が1位となったのだ。ドトールの店舗数が増え認知度が高まるにつれて、価格の安さが評価されていくようになったのだろう。そして、ほかの低価格コーヒー店が台頭したこともあり、相対的にスタバの価格の高さが際立つようになったといえる。スタバとドトールの例から、「価格の妥当性」が顧客満足の決め手になっていったことがわかる。
参考までに商品の価格例をいくつか挙げてみる。コーヒーSサイズの税込価格はスタバが302円、ドトールは220円だ。カフェラテSサイズはスタバが356円、ドトールは250円となっている。スタバで現在発売しているフラペチーノドリンク「チョコレート ケーキ トップ フラペチーノ with 抹茶ショット」はトールサイズのみで、669円だ。
コンビニコーヒーの普及の影響
スタバの価格の高さが際立つようになった要因として、コンビニエンスストアやファストフード店の存在も無視できないだろう。セブン-イレブンやファミリーマート、ローソンなどのコンビニ各社がレジカウンター横で本格販売しているコーヒーは、最低価格が100円程度と手頃な価格が受け、「コンビニコーヒー」として親しまれるようになった。また、マクドナルドがコーヒーSサイズを100円で販売するなどファストフード店のコーヒーも充実してきている。
コンビニ各社が、買った商品を店内で飲食できるスペース「イートイン」を併設した店舗を増やしている影響も大きい。たとえば、消費者はコーヒーやドーナツを買ってイートインスペースで飲食できる。つまり、「コンビニのカフェ化」が進んでいるのだ。低価格のコーヒーをコンビニで愉しむことができるようになっているため、スタバの価格の高さが浮き彫りになっていると考えられる。