消費者が企業活動に抱く疑問を考察するサイト ビジネスジャーナル ⁄ Business Journal
24時間営業の廃止も好感されている。前述の通りジーンズメイトは24時間営業をひとつの売りとしてきた。そして深夜の需要を取り込むことに成功した。しかし時代は変わり、今は深夜に衣料品を買う人は少なく、人件費や水道光熱費などを賄うことが難しくなっている。実際にジーンズメイトの販管費率(経費率)は悪化の一途をたどっている。24時間営業を開始した99年2月期の販管費率は31.7%と低かったが、その後は上昇し、10年2月期以降は50%前後で推移している状態だ。24時間営業が販管費を押し上げた面があるといえるだろう。そこで販管費を抑えるために、13店で実施していた24時間営業を、5月末日をもって廃止した。
こういった事情を踏まえ、ジーンズメイトの業績回復が期待されている。ただ、そう簡単には事は運ばないだろう。
まず、ジーンズメイトのブランドイメージは高いとはいえないのではないだろうか。ブランド刷新を図ってはいるが、一度染み付いてしまっている「野暮ったい」というイメージを覆すことは一朝一夕でいくものではない。ロゴの刷新だけで解決はできないだろう。
また、ライザップとの相乗効果を期待した施策として、ジーンズメイトの店舗で会員制度を導入し、ライザップから送客することで客数の拡大を目指すという。ライザップで体をスリムにした顧客にジーンズメイトを紹介し、ジーンズメイトの服を買ってお洒落になってもらおうというわけだ。
だが、ライザップでスリムになったとして、ジーンズメイトで服を買おうと思う人がどれだけいるのだろうか。
たとえば、ライザップの17年3月末の累計会員数は7万5000人だが、仮に10人に1人が年に1万円分の服をジーンズメイトで買うとすると7500万円の売り上げになるが、それでも全体の売上高の1%にも満たない数値でしかない。買う割合はもっと高くなる可能性もあるが、いずれにしても限定的だろう。
株価は目下高騰しているが、現段階でジーンズメイトの業績が回復すると断言するのは時期尚早かもしれない。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)
●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。
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