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片山修「ずだぶくろ経営論」

韓国サムスン、利益5兆円の偉業で世界3大企業へ…度重なる致命的危機から一瞬で復活

文=片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家
韓国サムスン、利益5兆円の偉業で世界3大企業へ…度重なる致命的危機から一瞬で復活の画像1韓国大統領機密漏えい問題で李在鎔サムスン電子副会長に懲役5年実刑判決(YONHAP NEWS/アフロ)

グローバル優良企業の仲間入り

 サムスンは、“怪物”である。

 2017年1~3月期の韓国サムスン電子の連結決算は、前年の同じ期に比べて48%増となる営業利益9.9兆ウォン(約9900億円)をたたき出した。利益を押し上げたのは、スマートフォン、データセンター向けの需要が好調な半導体事業だ。半導体事業の営業利益は、前年同期比2.4倍の6.3兆ウォン(約6300億円)と四半期ベースで当時過去最高を記録した。

 さらに同4~6月期は、それを上回り過去最高益を更新した。営業利益は前年の同じ期に比べて72.7%増の14兆ウォン(約1兆4000億円)である。16年12月期の営業利益は、前の期に比べ11%増の29.2兆ウォン(約2兆9200億円)で、過去最高だった13年12月期の36.8兆ウォン(約3兆6800億円)に次ぐ水準となった。17年12月期は、それを上回る史上最高益が見込めるというのだ。

「このままいくと、5兆円いくんじゃないかと予測されているんですね。13年の史上最高益を超えるのは間違いないでしょう」と、サムスン関係者はいう。ちなみに、営業利益が5兆円を超える企業は過去、アップルなど世界でも数社しかない。参考までに、トヨタ自動車は16年3月期に営業利益2兆8000億円を計上したが、17年3月期は2兆円を下回った。かりにも、サムスン電子が営業利益5兆円超えを実現すれば、アップルに並ぶ世界有数のグローバル優良企業の仲間入りをいよいよ果たすことになる。

 では、なぜかくもサムスンは好調なのか。サムスンを取り巻く経営環境は、ここのところ決して良好とはいえない。むしろ、次々と試練に見舞われている。

一時、スマホの利益ゼロ

 というのは、サムスン電子は16年10月11日、発火事故が相次いでいたスマートフォン「ギャラクシーノート7(以下、ノート7)」の生産、販売を打ち切った。「ノート7」といえば、「ギャラクシーS7」と並ぶサムスン電子のスマホのフラッグシップモデルだった。ライバルのアップルの新製品「iPhone7」の発売より約1カ月早く、16年8月19日に韓国や米国などで発売された。

 眼球の虹彩で個人を特定する虹彩認証、完全防水防塵など、新技術を多く搭載した、鳴り物入りの新機種投入だった。サムスン電子としては最先端機能を搭載し、ライバルを一気に突き放す計画だった。

片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家

片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家

愛知県名古屋市生まれ。2001年~2011年までの10年間、学習院女子大学客員教授を務める。企業経営論の日本の第一人者。主要月刊誌『中央公論』『文藝春秋』『Voice』『潮』などのほか、『週刊エコノミスト』『SAPIO』『THE21』など多数の雑誌に論文を執筆。経済、経営、政治など幅広いテーマを手掛ける。『ソニーの法則』(小学館文庫)20万部、『トヨタの方式』(同)は8万部のベストセラー。著書は60冊を超える。中国語、韓国語への翻訳書多数。

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