“電機屋”だからこそ見いだす勝機
――家電を売るだけでなく、住宅を売り、そこに必要な家電を売り、そして家具を売る。これは、「待ちの営業から攻めの営業」への転換を意味するのではないでしょうか。山田会長ならではの攻めの戦略ですね。
山田 約5000万人の会員というビッグデータをどう生かすかについては、攻めの戦略が求められます。ポイント戦略で固定客をしっかりとつかみ、新規客の獲得につなげていきます。
住宅部門については、歴史があって既存のお客様も多いヤマダ・エスバイエルホームにせよ、新規のヤマダ・ウッドハウスにせよ、店舗があるからこそ見込み客の発掘ができます。チラシ配布に加えて、会員というビッグデータの活用によって住宅部門の顧客も開拓できるようになりました。
たとえば、家を建ててくれたお客様にはリフォーム事業でも食い込み、しっかりと固定客にしていく。さらに、新規客の獲得も精力的に行います。家のリフォームというのは定期的に行われるので、必ず勝機を見いだすことができます。これは“電機屋”だからこそ生まれる発想です。
――従来店舗と新規店舗、さらにはビッグデータをフル活用することで、ヤマダ電機は誰も追従できないような異次元の市場に踏み込んでいくのでしょうか。
山田 「住まいに関する家1軒まるごとのサービス」は、一見すると他社さんと似ているように見えますが、実はまったく違います。さまざまな分野で力を発揮する、ヤマダ電機ならではのビジネスモデルだと思っています。
複合化すれば、家電の売り上げも上がります。「家具や雑貨も買いたい」と思うお客様が増えるため、来店客数も増加すると思います。「インテリアリフォームYAMADA 前橋店」は女性がターゲットですが、狙い通りに女性の来店数が多くなっています。
――ありがとうございました。
後編では、経営哲学や全取締役一斉降格時のエピソード、今後のビジョンなどについて、さらに山田氏の話をお伝えする。
(取材=松崎隆司/経済ジャーナリスト 構成=長井雄一朗/ライター)