超一流米大リーガーから人気殺到!たった数人の野球用品メーカー、超低コスト宣伝戦略
プロ野球やMLB(米大リーグ)も優勝チームが次々に決まり、ファンの関心は日本シリーズやワールドシリーズに向けた戦いや、選手の個人タイトル争いに移りつつある。
ところで、そうした選手を陰で支える小さな野球用品メーカーがある。従業員数1ケタのベルガードファクトリーだ。捕手が着けるマスク、プロテクター、レガース、打者が手足につけるアームガードやフットガードといった防具が得意だ。
「特にMLBの選手に愛用していただき、メジャー30球団のうち9球団の4番打者が使ってくれています。そのなかには、シアトルマリナーズのロビンソン・カノ選手や、マイアミ・マーリンズのジャンカルロ・スタントン選手もいます」(永井和人社長)
手前味噌で恐縮だが、同社を最初に注目したのは当連載だ。2016年1月29日付記事『国内外の一流プロ野球選手から注文殺到! 小さな用品メーカー、なぜ倒産から復活&急成長?』で紹介したところ、以後、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、ネットメディアが取り上げる例が相次いでいる。そんな同社の、縁を生かした「マーケティング戦略」が興味深いので、今回はそれを紹介したい。
国内は「フェイスブック」、海外は「インスタグラム」で人気が拡大
もともと、野球用防具はすべて日本国内の熟練職人が手づくりし、「特注品」は選手個人の使い勝手に合わせて微調整するベルガードは、モノづくりに定評がある。
だが、大手メーカーとは資金力や体力で大差があり、マーケティングに多額の宣伝費をかけられない。そこで同社が行うのは、低コストで発信できるフェイスブック(国内向け)とインスタグラム(海外向け)での情報発信だ。かつて国内では、永井氏が仕事の合間に「ベルガード製作日記」と呼ぶブログを作成したが、今ではフェイスブックに特化した。
「フェイスブックに書く内容も、以前は新商品の告知が主でしたが、現在は防具を使うMLB選手の紹介が中心です。今季のスタントン選手のようにホームランを連発すると関心が高まり、動画では選手のプレーとともに、防具を装着した姿も注目されます」(同)
防具のデザインも、ここ数年で進化している。有名選手には打撃フォームのシルエットも特注で施すようになり、海外での動画を意識して防具に「ベルガード」とカタカナで表示した商品も投入した。