元国税局職員、さんきゅう倉田です。サンタさんにお願いするクリスマスプレゼントは「税務六法」です。
国税局の税務調査も近代化が進み、インターネットを活用し、 経済取引のICT化(IT化と同義)に対応するため、専門部署による調査支援、デジタルフォレンジックツール(サイバー犯罪を調査する機器)を活用し、削除や書き換えられていた架空の領収証のデータを発見するなど、パソコンのデータを証拠として保全、解析を行っています。
デジタルフォレンジックツールの活用方法としては、押収したパソコンなどから不正の裏付けとなるデータを抽出する、サーバーのログを解析して通信記録を割り出す、オリジナルのデジタルデータ改ざんの有無を調査する、削除または破損したデジタルデータの復元を行うなどがあります。
そのような、複雑で専門性の高い情報通信技術だけではなく、スマートフォンの普及により、調査官一人ひとりがインターネットを活用して納税者や調査対象の情報を収集できるようになりました。個人事業者であれば個人名、法人であれば法人名及び代表取締役の氏名を、検索エンジンで検索、あるいはFacebook、Twitter、InstagramなどのSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)で検索することによって、調査を有利かつ効率的に進めようとしています。
今回は、そういったSNSを活用し、増差を出した調査事例を紹介します。
SNSで不正を発見
TwitterやInstagramに自身の作品を投稿し、人気を得ている女性イラストレーターがいました。彼女の収入は、法人からの報酬がメインのようです。SNSで過去を遡って確認すると、有名なコミックマーケットにしばしば出展し、自作のイラスト集を販売しているようでした。その際の収入が申告書に記載されているか否かは不明でしたが、記載されていないとの前提で税務調査を行うことにしました。「イラスト集2000円です」「200冊完売しました」という投稿を表示した画面を印刷し、準備調査の資料とともにファイルして携行しました。