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内紛・乗っ取り・転売の連続のスシロー、元気寿司と経営統合の「懸念材料」

文=編集部
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内紛・乗っ取り・転売の連続のスシロー、元気寿司と経営統合の「懸念材料」の画像1スシローの店舗(「Wikipedia」より)

 神明のオーナー経営者、藤尾益雄社長と、スシローグローバルホールディングス(GHD)のプロ経営者、水留浩一社長のディール(取引)だった。

 回転寿司業界5位の元気寿司の親会社で、コメ卸最大手の神明は、スシローGHDの株式33%を379億円で取得し、業界最大手のあきんどスシローと元気寿司の経営統合を目指す。スシローGHDの親会社である英投資ファンドのペルミラは、株式の売却で投下資金を回収することができる。

 藤尾氏は「経営統合のイメージとしては、上場会社であるスシローGHDを残し、その下に事業会社のあきんどスシローと元気寿司をぶら下げるかたちを検討している」と語った。

 スシローGHDの2016年9月期決算の売上高は1477億円で、国内店舗数は476店、海外は韓国に8店ある。元気寿司の17年3月期決算の売上高349億円で、国内店舗数は152店、海外167店となっている。単純合算すると売上高は1826億円となり、業界2位のくら寿司を運営するくらコーポレーション(16年10月期の売り上げ1136億円)を大きく引き離すことになる。

スシローは内紛、乗っ取り、転売の歴史

 あきんどスシローは内紛、乗っ取り、転売の歴史だった。スシローは清水義雄・豊の兄弟が1975年に大阪市阿倍野区でカウンターだけの立ち食いすし「鯛ずし」を創業したのが始まり。だが、兄弟喧嘩が勃発し07年3月、牛丼チェーン「すき家」を運営するゼンショー(現・ゼンショーホールディングス)が突如、発行済み株式の27.2%を保有する筆頭株主として登場した。ゼンショーが取得した株式は弟の豊氏とその家族が保有していた分だった。

 兄の義雄氏は敵対的買収を撃退するためホワイトナイト(白馬の騎士)として投資ファンドのユニゾン・キャピタルに頼る。ユニゾンによるゼンショー撃退作戦はMBO(経営陣が参加する自社買収)によるスシロー株式の非公開化だった。ユニゾングループはスシロー株式のTOB(株式公開買い付け)を実施。スシローの発行済み株式の64.08%を取得してゼンショーを撃退。09年4月、東証2部に上場していたスシローは上場廃止となった。

 12年9月、ユニゾンは保有していた全株式を英投資ファンドのペルミラに786億円で譲渡した。この結果、ユニゾンは541億円の売却益を得た。ユニゾンはホワイトナイトとして破格の報酬を手にした。こうして、スシローは英国資本の回転寿司店となった。

 ペルミラは15年2月、会社更生法を申請した日本航空の副社長やワールドの専務執行役を務めた水留氏をスシローの社長に送り込んだ。水留氏は外資系コンサルタント会社で企業再生の経験を積んだプロ経営者だ。

 ペルミラの出口戦略は、再上場する際に保有株式を売り出すか、ほかのファンドに直接転売するかの2択で、どちらのリターンが大きいかを秤にかけていた。水留氏が、いかにリターンを大きくするかという重責を担うことになった。

 15年3月、ペルミラはファンドが出資する持ち株会社スシローGHDを設立。スシローGHDは17年3月30日に東証1部に再上場し、これに合わせてペルミラは保有株を放出して投資を回収することにした。IPO(新規株式公開)の初値は3430円で、公開価格3600円を下回った。

 筆頭株主はペルミラのファンドであるコンシューマ・エクイティ・インベストメンツの22.2%。第2位は全国農業協同組合連合会(JA全農)で4.0%。第3位はノルウェー政府(政府系のカバメント・オブ・ノルウェー)で2.4%だ。事業会社では、サントリー酒類が1.5%、極洋とマルハニチロが各々1.0%保有していた。

 神明は11月までに2回に分けてスシローGHD株式の33%をペルミラグループのファンドから379億円で買い取り、持分法適用会社に組み込むことになる。ペルミラはIPOの際の売り出しと、神明への株式の譲渡で投資分を回収できた。

BusinessJournal編集部

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