粗悪コピーをつくるのは簡単だが、本物以上のクローンをつくるのは技術がいる。そして、その技術に加えて何度でもコピーを重ねて練度と鮮度を高めていくための情熱がなければ、最高のクローンはつくれない。
スタートアップを起こす際にも、誰もいない市場を狙うよりは、誰かが切り拓いてくれた市場を探し、その市場の先駆者(オリジナル)を超えるクローンをつくることが最良の選択肢かもしれない。市場のパイオニアとは、最初に進出した者ではなく、最初に成功した者にこそ与えられる称号だ。そして、同時に消費者の記憶とは、常に上書きされるものなのである。
(文=小川浩/シリアルアントレプレナー)