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調べていくと、社長は美容院、ネイルサロン、ドレスのレンタルなど、手広く事業を行っていることがわかってきました。キャバクラのホステスは、店で働く際には、系列の美容院とネイルサロン、ドレスのレンタル店を利用させられ、その費用はすべて給与から天引きされていました。同時に、源泉徴収も行っているようでしたが、この会社からの源泉所得税の納付実績はありません。源泉徴収で預かったお金も、社長が個人的に費消しているようです。税金も払わず、従業員からも搾取するという、なんとも“商売上手”な悪人です。
店舗を運営する会社も社長も無申告、美容院、ネイルサロン、ドレスのレンタル店もそれぞれ別法人が運営していましたが、いずれも無申告という、悪魔的所得隠しが行われていたため、帳簿の破棄や隠匿を回避するために、無予告で一斉に調査をすることになりました。いわゆる「ガサ入れ」です。
社長にはキャバクラのホステスの中に愛人がおり、彼女への多額の贈与も想定されました。課税逃れは、所得税、法人税、消費税、贈与税など他税目にわたり、継続的な調査が必要となります。このように、総合調査担当の特別国税調査官は、税目を横断して税務調査を行うこととなります。
幸い、今回の事案は裏帳簿が作成されており、それを基に課税所得を復元し、社長の役員給与は、預金通帳や愛人宅の家賃、自動車の購入記録などから把握、すべて無申告加算税と重加算税を賦課して、40%の加算税となりました。
このように、悪質な事案に関しては、厳正に対処するとともに、通常の調査部門を超えて調査できる特別調査官が対応することがあります。「天網恢恢疎にして漏らさず」なのです。
(文=さんきゅう倉田/元国税職員、お笑い芸人)
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