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フジHD違反、当時、総務省が事実把握し非公表…担当局長がNTT関連会社に天下りか

文=編集部
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FCGビル(「Wikipedia」より)

 フジテレビなどを傘下に持つフジ・メディア・ホールディングス(HD)の金光修社長は8 日、会見を開き、2012年9月末から14年3月末まで、放送法の外資規制に違反していたと発表した。同会見の中で最大の注目ポイントとなっているのは、金光社長が2014年12月に規制に違反したことを「総務省に口頭で報告し、担当者から厳重注意処分を受けていた」という部分だ。

 時事通信が9日に配信した記事『フジHD、14年12月に違反報告 総務省が口頭厳重注意―放送法の外資規制で』で「総務省がフジHDの法令違反を口頭厳重注意処分で済ませた当時の対応が適切だったのか責任を問われることになりそうだ」と伝えるように、同様に放送法の外資規制に違反し「放送持ち株会社」の認定が取り消された東北新社の事例と比べ、フェアとはいいがたい対応に見える。

 当時、違反が生じたことを発表しなかったのはなぜなのか。厳重注意で済ませた総務省の担当者とは誰なのか。総務省とフジHDの間で何があったのか。元総務省自治行政局幹部は次のよう語る。

「まずフジに関して言えば、韓流を強く意識した番組などに反発する有志が2011~12年、フジテレビに対して起こした『偏向報道に抗議するデモ』の存在は除外できないと思います。『フジHDが外資規制に違反しているのでは』という指摘は、その当時から上がっていました。総務省に『フジの放送免許を取り消せ』などという電話やメールが多く寄せられていた時期です。

 今回の規制違反時期はその直後の2012年9月から14年3月末。フジHD常務(当時)だった金光氏が総務省に報告したのが同年12月です。デモから約2年が経ち、ようやく事態が鎮静化したころです。総務省が当時発表すれば相当な反発があったでしょうし、認定取り消しになるような違法性がない事案だったとしても、国会を巻き込んだ大きな政治問題になったでしょうね。フジ、担当者間でどのようなやり取りがなされたのはわかりませんが、『内々』かつ『穏便』にする方向で済ませた可能性が高いです。

 放送法で定められている外資規制に関し、民放側には『法律の趣旨は理解できるが株主の売買を制限することはできないし、市場での資金調達に支障をきたしかねない』との声もあるようです。議決権を巡る株主との微妙なやり取りを含め、担当部局と民放各社の間には官民の阿吽の呼吸というか、不文律のようなものがあるらしく、外部の人間には口出しできない雰囲気が漂っています。厳密な法令遵守の観点からいえば、グレーな気もしますが……。

 ちなみに地上波テレビ局の放送法を所管しているのは情報流通行政局です。デリケートな案件だけに、どのような処分を下すのか、また違反を公表するかどうかなどに関し局長の裁可が必要な事案だと思います。14年当時の局長は現・NTTコミュニケーションズ常務の安藤友裕氏だったと思います」

フジHDが違反を報告した当時の局長はNTT関連会社の役員に

 ここで菅義偉首相の長男から端を発した一連の総務省接待事件でも名前があがっているNTTが出てくるのは驚きだ。そもそもなぜ、通信・放送行政を所管する総務省の幹部が利害関係企業の幹部になっているのか。

 内閣官房人事局や総務省の過去の人事発表資料によると、安藤友裕氏は1982年東大経済学部を卒業後、旧郵政省(現総務省)に入省。東海総合通信局長、電気通信事業部長を経て2014年7月22日~15年7月31日まで情報流通行政局長の任にあった。その後、総務省大臣官房総括審議官なども歴任した。

 退官後のキャリアに関しては、18年3月27日に内閣官房内閣人事局が発表した『国家公務員法第106条の25第1項等の規定に基づく国家公務員の再就職状況の報告(平成29年10月1日~同年12月31日分)』で確認できた。安藤氏は17年11月1日、三菱UFJ信託銀行の顧問に就任。そしてNTTコミュニケーションズが19年6月21日に発表した役員人事で常務CSR担当に就任したことがわかった。

 天下りなどを規制している国家公務員法第106条では、「現職の職員が利害関係企業等に対して、当該利害関係企業等又はその子法人の地位に就くことを目的として、自己に関する情報を提供することや地位に関する情報の提供を依頼すること、地位に就くことを要求又は約束すること」が禁止されている。つまり国家公務員退職後に、利害関係企業に求職活動をすることを禁じている。

 前出の元総務省幹部は「規則ではそうなっているけれど、ワンクッション置いた後に、自身のキャリアに準じた企業に行く幹部は多いですよ」と苦笑いする。一連の騒動に全国紙社会部記者は次のように呆れる。

「原発事故が発生した10年前、多くの国民が電力会社、経済産業省、マスコミの癒着を揶揄して『原子力ムラ』と指摘しましたが、現在の総務省を巡る数々の疑惑は『電波ムラ』と言われてもおかしくない状態です。サッカーでいえば、ジャッジとプレイヤーが同じ状態。ラフプレーをしても、ファウルかどうかはジャッジ兼プレイヤーの自分たちが決める。そんなゲームを見せられれば観客が怒るのは当然でしょう」

 総務省を取り巻く闇は深まるばかりだ。

(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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