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リニア談合、工事中止も…JR東海に疑念広まる、ゼネコン結束崩壊で裏切り合い

文=編集部
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大林・大成が談合を主導か

 談合はスーパーゼネコン4社だけなのか。JR東海がすでに発注契約をしている22の全工事でスーパーゼネコンが受注調整を行っていた。スーパーゼネコンが受注しなかった工事でも、4社が受注調整に関与していたとみられている。大林組は駅舎工事に定評があり、大林組の本社は品川駅の目と鼻の先にある。

「本社に近く、駅舎は得意分野。大林組が受注したいと思うのが当然だ。トンネルの難工事は大成と鹿島しかできないともいわれる。だから大成は大林組に南アルプストンネルの受注を断念するよう強く求めた」(ゼネコン関係者)

 大林組の幹部は東京地検や公取委の聴取に「副社長が直接、工事の受注調整をしていた。副社長は名城非常口の工事について『話がついている』と言っていた」「名城以外の(リニアの)非常口工事は他のスーパーゼネコンが獲ることになっていた。かなり早い段階で名城非常口は大林組が取ることが決まっていた」と話しているという。

 スーパーゼネコン4社の談合が発覚する糸口となったのは、リニア名古屋駅新設工事と名城非常口の2つの案件だった。前述のとおり大成は名古屋新駅ビル「JRゲートタワー」の建設で100億円雄赤字を出していたから、リニア名古屋駅は大成が受注することになっていた。ところが「駅舎は絶対に落とせない」とする大林組がJVにジェイアール東海建設を取り込み逆転した。しかも、リニア名古屋駅の工区は2工区に分割発注されることになり、「中央西工区」を大林組が受注した。

「JR東海側の意向で本命視されていた大成から大林組JVが逆転受注した。2工区に分割されたもう一方の名古屋駅中央東工区は、ジェイアール東海建設が受注している」(ゼネコン関係者)

 名城非常口新設工事は受注調整で大林組のJVに決まっていたとされるが、鹿島が選定過程で大林組に近い見積もり額を提示したため、慌てた大林組がJR東海の社員から得た情報をもとに、さらに低い金額の見積を提示して受注に成功したとされ、最終段階で大林組が無理をしたため、名城非常口が東京地検の捜査の突破口になったのではないかとみられている。

捜査の発端

 リニア名古屋駅は地下30メートル。現在の駅とほぼ直角に交わるかたちで建設される難工事。一方、名城非常口は大深度地下トンネル工事に使う建設機材を降ろすために重要な拠点となる。名城非常口を受注したスーパーゼネコンが事実上、大深度地下トンネルを受注することになる。名城非常口は“約束手形”のようなものだ。

「南アルプストンネル工事は3工区に分けられ、大成JVが2工区、鹿島は1工区を受注した。実は大林組も大成JVが獲った2工区のうちの1工区の受注を希望したが、大成側からオファーを見送るよう強い要請があった」(ゼネコン関係者)

 リニア名古屋駅、名城非常口、南アルプストンネルの最重要地点で、大林組、大成、鹿島の利害が鋭く対立していたわけだ。これ以外の工区の調整はスムーズに行っていただけに、大林組のゴリ押しをJR東海側が側面からサポートする構図に怒ったスーパーゼネコンの関係者が、公取委につながる人物に情報を漏らした疑いも浮上している。

 鹿島、大成建設、清水建設の担当者は、当初から「受注調整を否定している」(捜査関係者)との情報も流れているが、果たして誰が悪いのか。捜査の進展が待たれる。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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