リニア中央新幹線の建設工事をめぐる談合事件で、ゼネコン大手の大林組は1月23日、白石達社長が3月1日付で辞任すると発表した。事実上の引責辞任となる。蓮輪賢治取締役専務執行役員が社長に昇格する。
大林組は2007年、大阪府枚方市の清掃工場建設をめぐる官製談合事件で、当時の脇村典夫社長が引責辞任し、白石氏が後任社長に就任した。11年後に再び談合を理由に社長が辞任したことになる。白石氏は談合の後始末をするため社長となり、談合で社長を去るという、異例の事態となった。
白石氏は6月下旬の株主総会後、相談役に退く。リニア工事の土木部門を担当していた土屋幸三郎副社長は1月23日付で辞任した。
奇妙なトップ交代だ。談合を行ったのは土木部門なのに、土木出身者が後任社長に昇格するのだ。
大林組の代表取締役は5人おり、その序列は以下のとおりだ。
・大林剛郎会長…創業家の出身で慶應義塾大学経済学部卒
・白石達社長…東京大学工学部建築学科卒の建築畑
・原田昇三副社長執行役員…一橋大学社会学部卒の財務畑
・土屋幸三郎副社長執行役員…早稲田大学理工学部土木工学科卒の土木畑
・浦進悟副社長執行役員…日本大学理工学部建築学科卒の建築畑
会長と社長を土木・建築・経理の3部門が支える布陣である。
後任社長の蓮輪賢治取締役専務執行役員は、役員序列で8番目。大阪大学工学部土木工学科卒の土木畑である。最初の現場は、日生ニュータウン(兵庫県)へのアクセスとなる能勢電鉄日生線の線路の敷設工事だった。以来、土木一筋。本社土木部長室長、執行役員東京本店土木事業部担当副事業部長、技術本部副本部長、常務執行役員テクノ事業創成本部長を歴任。15年6月から取締役、16年4月に専務執行役員に昇格した。テクノ事業創成とは、太陽光、風力発電といった再生可能エネルギーなどの新規事業を指す。