2月6日の米国発世界同時株安は、世界大恐慌を引き起こした1987年10月19日の「ブラックマンデー」を彷彿とさせた。ブラックマンデーではニューヨーク(NY)ダウが1日で22.6%(608ドル)暴落。これを受けて翌日の日経平均は大幅安(3836円、14.9%安)となった。日経平均は史上最悪の下落で、今もこの数字は破られていない。
くしくも6日の米国の下げ(NYダウは過去最大の1175ドル安の2万4345ドル)はブラックマンデーと同じ月曜日。しかも、下値防衛線とみられていた50日移動平均線を、あっさり割り込んだ。FRB(米連邦準備制度理事会)の議長交代のタイミングだったことも、ブラックマンデー当時とそっくりなのだ。
6日の日経平均株価の下落幅は一時、前日比1603円。終値ベースでも2016年6月の「ブレクジット(英国のEU離脱)ショック」以来の急落となり、17年10月の水準まで逆戻りした。
NYは2月6日、一時、567ドル安と続落。その後、売り買いが交錯し、一時、600ドル以上値上がりし、結局、567ドル高で取引を終了した。1日の株価の振り幅が1100ドルを超え、依然、ジェットコースター状態が続く。米国の著名なアナリストは「投資家はシートベルトをしっかり締めて、振り落とされないようにしてほしい」と警告している。
2営業日、大幅な下げが続いたので、いったんは株価に歯止めがかかったが、「長期金利の動向から目を離せない。とりあえずのピークは2.88%だが、もし3%を上回るようならクラッシュ(大暴落)があるかもしれない」との見方が根強い。3%台は14年1月以来となる。米国の金利が3%超になると、株式市場から資金が米国債などの債券市場に流出して、株式市場の下げを加速する要因になるからだ。
我々は過去の歴史から、すべからく学ばなければならない。ブラックマンデー後のNYダウと日経平均をみると、ともにショック安の翌日、翌々日こそ反騰しているが、再び売りに押されて日経平均は2段下げに向かった。
それからの値動きは、NYダウは88年春を過ぎても低位での長期のもみ合い。日経平均は88年1月に大底を確認すると上昇トレンドに復帰。5カ月後の88年3月には下げ分を完全に取り戻した。それでもリバースするまでに5カ月かかった。
2月9日のNYは前日比330ドル高と反発したが、高値と安値の値幅はやはり1000ドルを超え、荒い値動きが続いた。週間ベースでは1330ドル安(5.2%安)で、下げ率の大きさはほぼ2年ぶりとなった。投資マネーが世界中で逆回転を始めたことは明らかだ。先週1週間(5日~9日)で世界の株式の時価総額は約5兆ドル(5400兆円)減った。震源地の米国に加え、金融引き締め懸念がくすぶる中国株も急落した。中国では15年8月の中国人民元ショックを思い出させる崩落ぶりだった。